石油パイプラインの重要性
油井から採掘した原油を安定的かつ効率的に輸送するため、パイプラインは重要な役割を担っています。このパイプラインは、輸送の過程で流体の圧力変動や腐食が発生し、配管の結合部や分岐点が破損して原油が漏えいすることがあります。
このときパイプラインに設置された圧力計の値を作業員が目視確認し、漏れの有無を確認していますが、巡回点検のみでは漏れを把握するまでに多くの時間がかかります。原油の漏えい検知が遅れることで、企業の経済的な損失のみならず、パイプライン火災や爆発事故、環境汚染を引き起こす可能性があります。漏えいを早期に検知し、場所を特定するためには、パイプラインの圧力変動を監視する仕組みの構築が必要となります。

問題解決に向けた現場の課題
広範囲に及ぶパイプライン監視の自動化
総延長数Kmにおよぶ地下に埋葬されていないパイプラインに監視システムを導入するためには、広範囲をカバーできる無線システムが必要でした。
異常の早期検知
異常な圧力変動を早期に検知し、迅速にメンテナンスする必要があります。
産業用 IoT 向け無線ソリューション Sushi Sensor
長距離通信・低消費電力のLoRaWAN®
Sushi SensorはLPWAと呼ばれる無線通信規格のうちの一つである“LoRaWAN”を採用しています。LoRaWANは長距離通信に適したSub-GHz帯域(920MHz*)を利用しており、通信環境にもよりますが約1kmの通信を実現します。電池のみで長期間動作し、配線工事は不要です。
*国ごとに異なる周波数帯域が設定されています。日本では920-928MHzの帯域が使用されます。
クラウド監視
Sushi Sensorが収集した圧力データは、LoRaWANゲートウェイを介してクラウドのサーバに蓄積されます。Sushi Sensorと親和性の高い広域モニタリングシステムを活用することで、離れた場所からでも圧力の異常をオンラインで検知することができます。
ベネフィット
ある地域のパイプラインでは、LoRaWANゲートウェイから最大 12km*離れたアクセスポイントに無線圧力センサを設置し、クラウド経由でリモート監視を行っています。パイプラインの圧力変動を俯瞰的に監視することで、異常が発生したエリアを限定できるようになるため、従来よりも素早い対応に繋がることが期待されています。
現在は特定のエリアに無線圧力センサを導入し、監視の最適化を進めています。今後は監視範囲を拡大し、複数の拠点や地域にまたがるパイプラインの状態を集中監視することで、監視業務の全体最適化を目指しています。
* 通信最大距離は設置条件により変わります

システム構成例
関連製品&ソリューション
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無線圧力センサ
本製品はIndustrial IoT(IIoT)向け無線圧力センサです。XS110A無線通信モジュールとXS530圧力測定モジュールを組み合わせることで、電池駆動の無線圧力センサとして動作します。気体、液体のゲージ圧を測定し、無線で送信します。
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広域モニタリングシステム
操業の現場で現在起きている各種課題の解決を、集中管理/個別分散したデータをクラウド上に集約しデータの統合管理と遠隔監視を行うことにより、広域モニタリングシステムがサポートします。IT知識は不要です。クラウド活用を手軽に小さく始めてみませんか?