1998年横河技報[Vol.42 No.4]

上下水道特集号

横河電機と上下水道の動向(PDF: 32KB / 4ページ)

  • 南 浦 清 *1
  • 川 村 幸 生 *1

*1IA環境システム営業本部技術部

上下水道では,トリハロメタンやクリプトスポリジウムなど水源汚染,渇水などの水資源,地震や集中豪雨などの災害対策が重点課題である。また省エネルギ・省資源など地球環境や公共工事コスト縮減なども重要である。これらの解決には,新たなセンサの開発や,人間を支援するシステムの強化が不可欠である。一方,電子部品・通信技術は高速化,低価格化を実現し製品の性能を大幅に改善した。上下水道ではこれらの製品の活用が,一層注目されるであろう。
以下に最近開発された製品を示す。上水道では油や急性毒物の監視,精密ろ過池管理用の低濁度計,CENTUM*2 による大規模からパソコン小規模までの広域システム,最新のネットワークシステムで通信とデータ処理機能を強化した情報処理水明21*2 がある。下水道では処理方式多様化に対応したMLSS計,短計測周期の高度処理に適用可能な全リン全窒素計,工業用パソコンでイニシャルコストを削減した小規模監視制御システムがある。また,CENTUMは 改築に有効なシステム互換性を強化した。
横河電機は計測・制御・情報技術と,上下水道ノウハウ,保守体制で最適ソリューションの提供をめざす。


低濁度計測の技術動向(PDF: 128KB / 4ページ)

  • 緒 方 清 徳 *1

*1IA環境機器事業部PMK1

クリプトスポリジウムに対応した低濁度測定用機器として,透過散乱比較方式の高感度形濁度計「TB500G」を開発し,膜ろ過処理用の低濁度測定用機器としてレーザ方式のレーザ形濁度計「TB600G」を開発した。高感度形濁度計「TB500G」は従来の透過散乱形濁度計を改良することにより,0.1 mg/l 以下でも精度良く測定ができ,0.01 mg/l を十分に監視できる濁度計である。レーザ形濁度計「TB600G」は濁度成分がセル内を通過する時の半導体レーザの強度変化を検知し,濁度に換算している。また,レーザ光を用いているので0.1μmの粒子にも感知できる濁度計である。本稿ではこれら2種類の濁度計の測定原理や特長,アプリケーションなどについて報告する。


活性汚泥濃度(MLSS)計の機能向上(PDF: 65KB / 4ページ)

  • 武 石 雅 志 *1
  • 尾 形 好 和 *1
  • 鶴之園 龍 一 *1
  • 清 野 真二郎 *1

*1IA環境機器事業部技術部

下水道分野で重要なプロセス分析計であるMLSS計の開発を行った。SS400 MLSS計は,低濃度の測定が可能な透過光散乱光比較方式の採用とパルス点灯方式や光学系の配置の工夫による外乱光の影響削減により,0~500 mg/l から0~20000 mg/l の幅広い濃度範囲で信頼性の高い測定が可能となった。また,自浄効果のあるフロート形ホルダの導入や校正作業の簡易化等を実施し,計器の維持管理改善の観点から保守性を改善した。本稿では,SS400MLSS計の特徴とその技術的背景について報告する。


浄水場原水の微量油分監視システム(PDF: 48KB / 4ページ) - 研究試作機による実証実験 -

  • 占 部 修 司 *1
  • 松 野 玄 *2
  • 坪 田 一 郎*3
  • 富 山 弘 幸 *1

*1技術開発PJTセンター
*2IA環境機器事業部 技術部
*3IAシスアプリ 開発2部

浄水場原水に対する微量油分の混入をオンラインで監視する水中油分監視システムの研究試作機を開発した。高速・高感度応答を実現するために,自社開発の水晶振動子式においセンサ(2)を油分検出素子として応用した。人間の嗅覚に匹敵する高感度で水中の微量油分を検出可能であることを基礎実験で確認した。また,試作機を浄水場に持ち込むフィールド実験を行い,河川原水に対する微量油分混入の検出実証に成功した。


フローインジェクション分析法を適用した全窒素・全りん自動測定装置の開発(PDF: 60KB / 6ページ)

  • 駒 沢 健 司 *1
  • 青 山 佳 司 *2
  • 安 江 知 明*3

*1IA環境機器事業部技術部
*2IA環境機器事業部営業部
*3IA環境システム営業本部技術部

キャピラリ加熱加圧-フロ-インジェクション分析法(FIA:Flow Injection Analysis)を適用した全窒素・全りん自動測定装置を開発した。全窒素及び全りんの測定法を次に示す。最初に,定量採取されたサンプルは,キャリア液の流れの中へと注入される。全窒素については,このサンプルを含んだキャリア流に水酸化ナトリウム-ペルオキソ二硫酸カリウム溶液が添加され,加熱されたキャピラリコイルへ導入される。このキャピラリコイルの中で,サンプル中の窒素化合物を,加熱分解し,生成した硝酸イオンを紫外吸光光度法で測定する方法を用いた。全りんについては,引き続き,紫外吸光検出器から出てきたサンプルに硫酸-ペルオキソ二硫酸カリウム溶液を添加し,再び,加熱キャピラリコイルの中で,サンプル中のりん化合物を加熱分解し,生成したりん酸イオンをモリブデン青吸光光度法により発色させ,可視吸光検出器で測定する方法を用いた。
これらの測定法を組み合わせて,幅広いレンジに渡りサンプルを希釈すること無く,全窒素と全りんを短時間で測定する事が可能となった。下水処理水への応用試験について紹介する。


上下水道監視制御システムの動向(PDF: 243KB / 6ページ)

  • 虎 尾 敏 昭 *1
  • 石 井 康 仁 *1
  • 宮 崎 卓 也 *1

*1IA環境システム営業本部技術部

本稿では,上下水道における監視制御システムの動向と実施例を紹介する。動向として,大中規模監視制御システムの場合,分散形監視制御システムの登場以来,監視操作の独立と制御の分散が図られてきたが,さらに制御系と情報系の分離へと移行し,情報系においてはオープン化,ネットワーク化が必須アイテムとなっている。一方,小規模監視システムにおいては,経済性,汎用性の要求が高まる中,パソコンによる監視システムの採用が進んでいる。
また,監視制御システムに対して,長寿命,安全性,扱いやすさ,および維持管理の容易化などの要求があり,連続性を考慮したシステムの採用やリモートI/Oによる拡張,二重系照合ペア方式のプロセッサカード,マルチウィンドウ機能,およびリモートメンテナンスの採用などにより対応している。
これらの動向,要求に対応するシステムの実施例として,大中規模システムではCENTUM CSによる浄水場監視制御システムを,小規模システムはSimpleSightによる下水道施設監視システムを紹介する。


水運用の変遷と最近の実施例(PDF: 59KB / 6ページ)

  • 南 浦 清 *1
  • 二 宮 幸 夫 *2
  • 来 海 洋 治 *2
  • 杉 谷 裕 通 *2

*1IA環境システム営業本部 技術部
*2IA SI情報2部

上水道の運転管理においては,水量と水質の管理が重点管理項目である。本稿では,累積流量グラフを使用した水量管理手法について例題を挙げて説明する。累積流量グラフは,計画対象となる池の流入量・流出量の累積流量に着目した管理手法であり,流入量と流出量の積算値の差分が,計画対象池の貯水量の変動になることに着目している。
累積流量法においては,流量の瞬時値がカーブの傾きで表現され,流量の変化がカーブの変局点で表現される。このことを利用して設定した水位条件や流量条件等を逸脱しない範囲で,累積流量グラフ上により編曲点の少ない直線を引くことにより,最適な流入量計画が直感的にイメージできる。
累積流量グラフを利用した水量管理機能は,上水道用情報管理ステーション「水明」のアプリケーションパッケージのひとつとして,1990年に納入を開始した。本水量管理機能は,出荷した水明システム43システム中,8システムで稼動中である。


CENTUM CS広域監視制御システムの導入事例(PDF: 31KB / 4ページ)

  • 黒 木 成 多 *1
  • 難 波 英 二 *1
  • 高 木 仁 志 *1

*1IA環境システム営業本部技術部(関西)

横河電機の分散型監視制御システムCENTUM CSを用いた広域監視制御システムを紹介する。このシステムはCENTUM CS制御用LANを第1種電気通信事業者により提供されるディジタル回線により遠隔の施設まで延長し,センターから遠隔施設の監視制御を行うシステムである。近年のネットワーク技術の急速な発展を背景に,従来のTM/TC(telemetering/telecontrolling)方式では不可能であった,保守管理や詳細情報の確認などを可能とし,遠隔施設管理に有力なソリューションを提供するアプリケーションである。


上下水道向け情報管理システム「水明21」におけるネットワーク利用(PDF: 34KB / 4ページ)

  • 金 丸 智 彦 *1

*1IA環境システム営業本部技術部

上下水道事業では,広域に点在する施設を効率的に管理する必要がある。近年のインフォメーション技術の進歩により,広域に点在する情報を一括管理し,有効に利用することが重要な課題となっている。
上下水道事業の特性を考慮すると,事務部門向けの情報系ネットワークとリアルタイム性が要求されるプロセス管理部門向けのプロセス系ネットワークを構築し,その間をインタフェースする仕組みが必要である。
上下水道向け情報管理システム「水明21」は,ネットワーク技術として最新のLANやWANを組み合わせた情報系ネットワークやプロセス系ネットワークを構築する。また,コンピュータ技術として,クライアント・サーバ方式,要求機能による最適なOSの提供,機能分散構造等の最新のオープン技術を採用し,データロギング,高度運転支援等のプロセス向け応用ソフトウェアと業務支援,OA支援,情報公開支援等の情報系応用ソフトウェアを提供する。本稿では,水明21のネットワーク利用の概要を紹介する。


分散形監視制御システムの更新工事(PDF: 44KB / 4ページ)

  • 小河原 正 晴 *1
  • 安 江 一 泰 *2
  • 石 川 保 郎*3
  • 山 森 正 人*3

*1IA環境システム営業本部技術部
*2IA環境システム営業本部技術部(関西)
*3IA環境システム営業本部技術部(中部)

浄水場で稼動している分散形制御システムの更新工事にあたり,事前計画の留意点と現場調査の方式および具体的な切替方式に付いて述べる。
事前計画では更新の目的を明確化することが重要である。既設システムの取替えに留まらず運転支援機能の導入やネットワーク構築を踏まえたデータの管理方法,また運転員の就労環境の改善などに対して考慮が求められる。また更新範囲の検討では管理室自体の改修や移設,ケーブルの更新範囲など更新目的に沿った計画が必要である。
一方,切替工事に不可欠である既設調査は,機器配置,スペース確認,環境調査など概要の調査と,信号やケーブルの状況を個々に確認する詳細調査の2段階の調査を行う。具体的な切替方式では信号分岐方式と順次切替方式が代表的な施工方法である。
信号分岐方式は切替工事における作業の信頼性や切替中の運転員の負担軽減などの面で優れているが,最近は実績の多い順次切替方式が主流となっている。本稿ではこの2方式の実施例も報告する。


工業用ネットワークコンピュータ"DUONUS"(PDF: 108KB / 6ページ)

  • 野 口 哲 *1
  • 伊原木 正 裕 *2
  • 大 野 毅 *1
  • 岩 村 太 信 *1

*1DUONUSセンター

工業用ネットワークコンピュータのコンセプトを新たに考案し,それに基づく製品"DUONUS"を開発した。"DUONUS"は,工業用途に必要な耐環境性を持ち,フィールド機器接続用インタフェースを備え,アプリケーションの開発や運用に優れるJava言語をサポートする。フィールド機器にDUONUSを接続することにより,フィールド機器はインテリジェントなネットワークインタフェースを与えられ,「フラットオペレーション」が可能となる。
本稿では工業用ネットワークコンピュータのコンセプトと"DUONUS"の概要について説明する。

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