IA2IA - Industrial Automation to Industrial Autonomy

YOKOGAWAは、Industrial Autonomy を、「プラントの設備や操業自体が、学習し、適応する機能をもつようになること。それにより、人間の介入は最低限にとどまり、オペレータはより高いレベルの最適化に取り組むことが可能になる。」と定義しています。
“Industrial Autonomy” とは?
Autonomyとは、自律すること、または自分を自ら制御できることを意味し、Automation とは大きく異なります。
Automationでは、事前にプログラムされた一連のタスクを自動的に実行できますが、特にタスク間においてオペレータの監視や指示を必要とします。一方、Autonomyでは、Automationで必要としていたオペレータの監視や指示を、システム自らが行うようになります。
Industrial Autonomy とは、プラント(工場)の設備や操作自体が、学習し、適応する機能を持つようになることです。プラントそのものが学習、適応してさまざまな事態に対応できるようになることによって人間の関与は最小限となり、オペレータはより高度なレベルの最適化に専念できるようになります。
"Autonomous Operations" とは?
Autonomous operations は、バリューチェーン全体におけるIndustrial Autonomyが達成された状態です。ここに至ると、事前にプログラムされていない、あるいは設計段階で予測されていない状況に対して、オペレータの介入を求めることなく、コグニティブシステムが自律的に応答することができます。システムが、人間のような学習能力、適用能力を持ち、安全システムを含めた運転のすべての役割を果たせるようになります。
詳細
Autonomyのレベル ー 段階的な移行
Autonomyは、プロセス制御と運用、運転計画とスケジューリング、サプライチェーン管理、フィールドオペレーション、メンテナンス、エンジニアリングといった、幅広いドメインに適用できます。YOKOGAWAは、お客様が現在の位置と将来の目標を確認することができるよう、成熟度モデルを定義しました。
Level 0-1 MANUAL/SEMI-AUTOMATED
最小限に構築、自動化されている状態です。作業は、紙ベースでの指示、記録のもとに多くが手作業で行われています。自動化用のシステムがエラーの発生しやすい作業を担当することで、生産性の向上を図っています。
Level 2 AUTOMATED
従来の自動化システムのアシストのもとで、人間が安全なオペレーションを行っています。自動化システムは生産プロセスの大部分を実行し、ワークフローとメンテナンスタスクを支援しますが、想定外の事象に関しては人間の監視と介入が必要です。
Level 3 SEMI-AUTONOMOUS
自律化したコンポーネントと自動化されたアセット、人間が有機的に結合していることが特徴です。自律化したコンポーネントは、事前にプログラムされていない状況に対する学習、適応、自己最適化の機能という点で、自動化されたアセットとは大きく異なります。このレベルにある企業は、選択された自律化したコンポーネントもしくはアプリケーションが人間によって組織的に動作しています。
Level 4 AUTONOMOUS ORCHESTRATION
ほとんどのアセットは自律的に動作し、特定の状況や条件のもとで生産、安全、保守を最適化するために同期して動作しています。適切な機能を持つ自律的なコンポーネントが、システムとして機能できるようにまとめあげられています。ただし、非常事態においては、オペレータが操業をコントロールする必要があります。
Level 5 AUTONOMOUS OPERATIONS
設備は自律的に動作し、サプライチェーンまでを含めた複数分野までが統合された、非常に理想的な状態です。操作は完全に自律化され、すべてにおいて人間が介入する必要はありません。
必要となるのはIT/OTの技術とその融合
AI、デジタルツイン、ロボットといった新しいテクノロジーは、プラントの操業に大きな変化をもたらしています。これらのテクノロジーは、物理的な作業の負荷を軽減し、意思決定プロセスの自律化を促進することで、生産性と作業員の安全性を向上させています。今日のビジネス環境においては、オペレーションのレジリエンスがこれまで以上に重要になっています。
Industrial Autonomyへの移行には、IT(Information Technology)とOT(Operational Technology)双方の分野における多くのテクノロジーが必要です。YOKOGAWAは、ITとOTの両方のノウハウを兼ね備えています。
Industrial Autonomyを支える技術は既に確立されつつあります。しかし、その真の価値は、知的で自律的なワークフローを構築するにあたり、技術をいかに効果的に統合するかにかかっています。
YOKOGAWAには、長年にわたって蓄積されてきた、コンサルティングから始まるプロジェクト遂行の経験と専門知識(ドメインナレッジ)があります。加えて、解決すべき重要な課題が何であるか、そしてその課題を解決するために最適なテクノロジーが何であるかをを理解しています。
Industrial Autonomyの中核にあるAIとロボティクス
人工知能(AI)とロボティクスは、自動化から自律化へ移行にあたり、中核になる技術です。
AIは、高度なデータ分析、予測分析、自律的な意思決定を可能にし、設備の健全性監視、プロセス最適化、品質管理といった幅広い用途を支えます。しかし、AIの真の価値が発揮されるのは、データに意味を与え、得られた知見を実際のビジネスニーズに結び付ける深いドメインナレッジと組み合わされたときです。
ドローン、移動ロボット、固定型自動化装置などを含むロボティクスは、物理的な作業の進め方にも変革をもたらしています。漏洩検知や腐食監視から、海底パイプラインの保守、掘削現場における自動配管作業に至るまで、インテリジェントロボットシステムは、産業オペレーションにおける自律化の領域を拡大しています。より高度なインテリジェンスが組み込まれるにつれ、一層多様な環境で、より複雑化する保守や運用作業を担えるようになります。
IA2IA のさまざまな道のり
Industrial Autonomyへの道のりは一様ではなく、組織や施設ごとに大きく異なります。システムが自律的に動作する「Autonomous Orchestration」レベルに到達しているケースがある一方で、多くのケースでは依然として「Automated」や「Semi-autonomous」レベルにとどまっています。
Industrial Autonomyを実現するソリューションとして、何を、どこで、いつ、どのように導入するかは、施設や準備のレベルによっても大きく異なります。例えばブラウンフィールド(既存設備)では、自律化を前提とした設計がなされていない、あるいはオペレータによる人的介入が前提となっている場合が多く、新しい技術の導入には多くの課題が存在します。しかし同時に、エネルギー使用量の多さ、運用効率の低さ、保守作業の負荷の高さなどの問題も抱えていることから、技術を導入することで最大限の効果が期待できる領域でもあります。一方、グリーンフィールド(新規施設)では、建設段階からロボティクスなどの技術を組み込むことで、自律運転を前提とした設計が進んでいます。
最終的に、自律化への道のりは、アプリケーションの複雑さ、現場の環境、そして技術をいかに効果的に統合できるかによって、その実現の形が描かれていきます。
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