横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

1細胞解析に革命をもたらす細胞内サンプリングシステム「SS2000」を開発

2021年12月1日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:奈良 寿)は、培養中の細胞を共焦点顕微鏡で高精細に撮像し、特定の細胞や1細胞内成分のサンプリング工程を自動で正確に実行するSingle Cellome™ System (シングル・セローム・システム)「SS2000」を開発したことをお知らせします。2022年2月から日本、米国、中国での販売を開始し、欧州他の地域でも順次販売していく予定です。

Single Cellome System 「SS2000」
Single Cellome System 「SS2000」

開発の背景

 生物を構成する最小の単位である細胞はそれぞれに個性があるため、細胞を集団ではなく、個々の細胞でとらえる1細胞解析への注目が高まっています。また近年では、分析技術が向上したこともあり、1細胞だけでなく細胞内にある特定の分子を目的とした解析も求められています。細胞の特性や機能を解明し、細胞が変質する理由や仕組みを研究することは、疾病の原因究明やその予防、薬効薬理の検証に非常に有効であり、創薬研究や個別化医療、再生医療の発展には欠かせません。
 しかし、細胞内成分の解析においては、おもに細胞を集めて破砕する手法で行われるため、1細胞単位でサンプリングすることが出来ず、回収できない成分も数多くありました。また、細胞が存在していた場所や従来の形状についての情報も、失われている状態にありました。さらに、手動で行うサンプリングの作業はベテランの研究員であっても、熟練の技術が必要で、スループットが悪いという課題がありました。
 生きた細胞のわずかな現象も逃さずリアルタイムに解析する当社のイメージングのコア技術をベースに、自動で正確にサンプリングの操作を制御する新技術を取り入れたSingle Cellome System 「SS2000」は、最先端のライフサイエンス分野の研究を支えます。

特長

 共焦点顕微鏡技術によって細胞を生きた状態で、低ダメージに高速で撮像します。高精細な3D画像を高感度で分析しながら、精密な位置決め技術を用いて、自動で正確にサンプリングします。

  1. 設定条件から細胞や1細胞内の最適な領域を選択
    対象の範囲にある多数の細胞の画像解析を行い、細胞質の面積や核の大きさというように設定した条件で分類します。そして、目的に合う細胞の選択とサンプリングのための位置を決定します。1細胞内においても、特定の部位の画像処理を行い、核からの距離というように設定した条件において、最適な領域を選択します。
  2. 目的とする細胞や1細胞内の成分の確実なサンプリング
    細胞を剥離することなく、位置情報や形態情報を保持した状態で、目的とする細胞のみを直接サンプリングします。1細胞内の成分サンプリングでは高精細な3D画像と精密な位置決めにより、目的とする細胞小器官や細胞質を選択的に採取することができます。
  3. サンプルは様々な分析に利用することが可能
    採取した細胞や1細胞内の成分は、遺伝子解析や質量分析など様々に利用することが可能です。目的のサンプルを最適な状態で効率的に集めることができるため、分析の感度が向上します。また、丸ごとサンプリングした細胞は生かしたまま回収することができ、そのまま培養することもできます。

 横河電機 執行役員ライフ事業本部長の中尾寛は、次のように述べています。「今回開発した細胞内サンプリングシステム「SS2000」は、細胞研究の未来を支えるソリューションです。1細胞の特性だけでなく、細胞間のネットワークやコミュニケーションが理解できれば、病態のメカニズムの解明につながっていきます。人生が100年という時代、人々の命、健康、安全を守るためのソリューションの開発、提供をますます加速させていきます。」


Single Cellome System 「SS2000」 イメージ動画

以上

本文中で使用されている会社名、団体名、商品名、サービス名およびロゴ等は、横河電機株式会社、各社および各団体の登録商標または商標です。

本件に関するお問い合わせ

関連製品&ソリューション

  • ハイコンテントアナリシス CellVoyager

    CellVoyagerシリーズは生きた細胞の様々な反応を高速かつ詳細に調べることにより、新薬開発や化合物評価、細胞機能解明などの効率を上げるハイスループットハイコンテントアナリシスシステムです。最先端のライフサイエンス研究のニーズに応え、常に進化を続けています。

    さらに見る
  • 共焦点スキャナユニット CSU

    共焦点スキャナユニットCSUを光学顕微鏡に取付け、簡単にスピニングディスク方式共焦点顕微鏡にアップグレードできます。
    独自のスキャン方式で生細胞、生体へのダメージを最小限に抑え、微かで速い生命現象も逃さず捉えることが出来ます。
    これまで3,500台以上の販売実績があり、世界中の先端的研究を支えています。

    さらに見る
  • 細胞内サンプリングシステム SS2000

    SS2000は共焦点顕微鏡で培養中の細胞を撮像しながら、1細胞レベルで細胞内の特定の部位や領域を全自動で直接サンプリングするシステムです。細胞を丸ごとサンプリングすることも可能です。培養中の細胞を剥がす必要がないため、位置情報や形態情報が保持されます。

    さらに見る
  • 自動ナノデリバリー/自動ナノサンプリング SU10

    ナノピペットを使用した細胞への穿刺、デリバリー、抜去等の一連の動作を自動化する顕微鏡コンポーネントシステムです。ナノピペットの先端サイズが非常に小さいことから細胞へのダメージを最小限にし、ライブセルを対象とした細胞の操作と解析が可能になります。

    さらに見る

トップ