2021年6月15日発表
横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:奈良 寿)の子会社である横河バイオフロンティア株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:伊賀 光博)は、100%植物由来の素材である硫酸エステル化セルロースナノファイバー「S-CNF™」を提供する事業を開始しましたのでお知らせします。第一段階としてサンプル提供を開始、今後は商用生産にも着手し、化学・素材産業を中心とするお客様向けに植物由来の多様性に優れた素材であるS-CNFを提供していきます。
粉末状のS-CNF
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セルロースナノファイバーは、植物の主成分であるセルロースを加工した繊維状のバイオマス素材で、木材などから抽出し、繊維を細かくほぐすことで生産されます。素材としての一般的な特徴は生産・廃棄に関する環境負荷が小さい、軽量で強度が高い、熱変形が小さい、酸素などのガスに対するバリア性(気体の遮断性)が高いなどさまざまで、素材産業を中心とする多くの企業が注目しています。
今回当社がサンプル提供を開始したS-CNFは、一般的なセルロースナノファイバーの特徴に加え、ゲル状から乾燥させて粉末状にしても水分を与えることで物理的性質を再現できるという特徴があります。そのため、ゲル状に比べて体積と重量が100分の1程度になる粉末状にすれば輸送時や保管時のコスト抑制に大きく貢献することができます。また、この性質によって水分との配合比率も自由に変えることができるため、用途に合わせて素材の性質を変化させる柔軟な対応が可能です。
さらに、繊維をほぐす生産工程で必要なエネルギーが、一般的なセルロースナノファイバーに比べて抑えられる試算となっており、製造コストの面でも大きな貢献が期待できます。
横河バイオフロンティアでは、今後、S-CNFの商用生産に取り組み、化学・素材業界を中心とするお客様向けに生産品の販売と、商用生産のライセンス販売のビジネス展開を目指していきます。また、S-CNFを使ったお客様との共同研究開発も検討していきます。同社は、植物由来の素材の普及を促進させることによって、化石資源を必要としない炭素循環経路の実現に貢献していきます。
S-CNFを介した炭素循環のイメージ
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横河バイオフロンティアは、6月23日(水)から25日(金)までインテックス大阪で開催される「第1回 関西 サステナブル マテリアル展」にS-CNFを出品します。
S-CNFの主な市場
- 化学、石油化学、自動車、建材、窯業、繊維などの素材産業
- 食品、薬品、紙加工などの産業
S-CNFの用途例
- プラスチック・ゴム素材などへの充填剤
- フィルムやボトル包装
- 化粧品、塗料への機能性添加剤
- 増粘剤、乳化剤
横河バイオフロンティア
横河電機が100%出資し、2021年1月に設立した、植物由来のバイオマス材料の製造と販売、それに関連するライセンス供与やコンサルティングを事業とする会社です。ナノセルロースとリグニン(モノマー)を扱うバイオマス事業と微細藻類を扱うスマートセル事業を展開しています。
以上
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横河電機株式会社 コミュニケーション統括センター 広報課