概要
エボニック・テクノケミー社(ドッセンハイム、ドイツ)
エボニック・テクノケミー社(ドッセンハイム、ドイツ)は、医薬品の原薬や中間体を製造するプラントを操業する受託合成のスペシャリストです。 製薬事業に注力するため、生産能力の限界のところで操業していたプラントに加え、ドッセンハイムに第二の原薬プラントを建設することを2008年に決定しました。
この新プラントの重要な技術要件として、GAMP5(Good Automated Manufacturing Practice Version 5)への準拠と、主にシーケンス制御によって生産されている原薬生産プロセスにおいて、主にシーケンス制御をさらに柔軟に変更できるような仕様が求められています。
"ドッセンハイムの原薬プラントでは、3階建ての建物で製造されており、 それぞれ、3階で充填工程、2階で反応工程、1階で固液分離工程、 そして最終製品の充填工程は、地階で行われます。" 充填および最終製品の充填工程は共にクラスDのクリーンルーム条件下で行われます。
この新プラントでの生産作業を管理するため、エボニック社は横河電機の統合生産制御システム「CENTUM VP」と、バッチ管理パッケージ「CENTUM VP Batch」を採用しました。
中央監視室にて
お客様の課題とソリューション
1. 自動化製造実践規範(GAMP)
GAMP5への準拠は製薬業界では必須です。 どのようなシステム・プロジェクトでも、GAMP5への準拠には、EUの適正製造規範のAnnex 11に規定されている電子記録機能および電子署名機能が必要となります。 すべてのプロセス機能を自動化するために開発されたシステム・ソフトウェアは、あらかじめ定義された試験手順に基づいて、通常、技術者およびオペレータが検証、適格認定を行います。
横河電機のCENTUM VPは、これらの要件に準拠しています。
2. 柔軟かつ安全な操業
ドッセンハイムのプラントは単一目的プラントとして使用されてきましたが、本来は多目的プラントであり、将来の拡張を可能とするスペースを保有していました。 CENTUM VPは、多目的操業に対応するあらゆる機能を搭載しています。 こうしたプロセスにおける非常に厳しい生産スケジュールに対応するために、CENTUM VP バッチレシピ管理パッケージは、充填、加熱、冷却といったすべての基本モジュール機能をオペレーターが柔軟に制御することができるよう支援します。 また、CENTUM VPのヒューマンマシンインタフェース(HMI)は操作も非常に簡単です。 下に掲載されているグラフィック・ディスプレイには、各ユニットおよびシーケンスの概要とパラメータ設定が表示され、オペレータは速やかに安全な決定をするために必要な情報を一目で確認することができます。 さらに、システムのバッチレポート機能は、製品の追跡および品質管理に非常に役立ちます。
プラントオーバービューグラフィックディスプレイ
3. フィールド機器
フィルタードライヤー、真空ポンプ、真空バギング、プラントポンプ、エバポレータなどプラントの全てのフィールド機器はフィールドコントロールステーション(FCS)に接続され、横河電機の統合機器管理ソフトウェアパッケージ(PRM)によって監視されています。 当初、バスシステムは誤配線やデータ互換性に関する数々の問題を抱えていましたが、PRMを使用することですべて解決することができました。 PRMは、操業中すべてのフィールド機器を監視し、機器の使用時間を追跡することで予防保全を実施すべき時期をあらかじめ特定する機能を搭載しています。 これにより、積極保全的なアプローチが可能になり、プラント操業コストの最小化に貢献します。
お客様の声
エボニックの操業責任者であるSimone Reinhard博士は次のように述べています。 「このプロジェクトは予算内で完了することができただけではなく、非常に厳しいスケジュールをも守ることができ、成功に終わったといえます。ほぼ計画どおり実行できたのです。プロジェクトチームの全員の献身的な努力と緊密な協力のおかげで、新プラントは2009年7月に生産活動を開始できました。非常に厳しいスケジュールにもかかわらず、これらのプラントの稼働を計画通り開始でき、2009年後半の顧客への納品開始に間に合いました。プラントのライフサイクル全般にわたってシステムを支援してくださる横河電機様のご尽力にも非常に感謝しています」
操業責任者 Simone Reinhard博士
CENTUM VPのシステム構成