タイオレオケミカル社の新設油脂化学工場について
Oleochemical samples
植物系原料から作られる油脂化学製品は、生分解性で環境に優しく、パーソナルケア製品などに使われています。タイオレオケミカル社(TOL)は、油脂化学製品の需要増加に対応するため、新設の油脂化学プラントを建設しました。新工場は、バンコクから160キロ南東にあるラヨーン市マプタプット工業団地にあり、年間で高級アルコール10万トン、メチルエステル20万トン、パーム原油から生成するグリセリン3万トンの生産能力があります。この工場で生産されるメチルエステルは、石油系ディーゼル燃料と混合して、バイオディーゼル燃料になります。
TOL社では、新工場を安全かつ確実に稼働させるため、CENTUM CS 3000とProSafe-RSの統合システムを採用しました。
お客様の課題とソリューション
このプロジェクトには、複数のライセンサーおよびコンサルタントが関与していました。そのため、エンジニアリング段階から、すべての情報および仕様について、一貫性を維持することがこのプロジェクトの重要なポイントでした。当社のエンジニアは、この点に留意してプロジェクトの開始から試運転調整の終了まで、常にライセンサー、コンサルタントと情報共有を行いながら、プロジェクトを遂行しました。
ハードウェアの設置およびプラントの試運転調整期間は、わずか4ヶ月しかありませんでした。この短期間内に、CENTUM CS 3000とProSafe-RSシステムを中央監視室および電気計装室に設置して、配線、機能確認を行う必要がありました。また、伝送器の設置、ループ確認もありました。期間中は、ソフトウェア変更が数多く発生し、これに迅速かつ柔軟に対応することが求められていました。このような状況の中、良好なチームワークとシステムの容易で効率的なエンジニアリング環境により、すべての作業を仕様通りスケジュール内で実施することができました。
プラントの運転は安全性と効率を最大に高めることが求められていました。これを実現するため、CENTUM CS 3000とProSafe-RSを完全にシステム統合しました。トレンド、アラームサマリ、オペガイドメッセージ、その他情報の統合したグラフィック表示、生産制御システムと安全計装システムの連携は、安全性と効率の向上に加え、プラントの操作性をさらに高めることに成功しました。
短期間でシステムを立上げる必要がありましたが、お客様にはシステム立上げに従事できるDCSエンジニアが十分にいませんでした。今回のプロジェクトでは、ヨコガワ・タイランドのラヨーンサービスオフィスから人員を派遣し、お客様とともに短期間のプラント立上げを実現しました。また、当社の24時間365日のサポート体制は、お客様から非常に高く評価されています。
お客様の項
TOL社のエンジニアリング・メンテナンスマネージャのSayan様から以下のコメントをいただきました。
「エンジニアリングの早い段階から試運転まで、YOKOGAWAのエンジニアは非常に忍耐強く、協力的でした。おかげで、プロジェクトの完了に至るまで、チーム一丸になって仕事を進めることができました。」
エンジニアリング・メンテナンスマネージャのSayan様(中央監視室にて)
< システム詳細 >
制御システム 伝送器 I/O点数 ソフトウェアパッケージ |
: 火力発電 : CENTUM CS 3000、ProSafe-RS、CCTV : HART通信 : CENTUM 3,000点 / ProSafe-RS 600点 : Exaquantum |
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