概要
セメントは石灰質および粘土質等の原料を約1100~1500℃の高温で焼成して作られるため、多量の熱エネルギーを消費します。
そのため、焼成後の排熱で原料を予熱したり、排ガスの酸素濃度を測定して燃焼制御を行うなど、種々の省エネルギー対策が図られています。また、環境対策の面では、電気集塵機を設置して煤塵の大気放出を防ぐだけでなく、NOxやSO2などもそれぞれ濃度計を設置して管理が行われています。これらの目的に使用される分析計は、厳しい測定条件下でも長期に渡り安定に動作することが望まれます。
横河電機のプロセス分析計は、高温でダスト量の多いガスが測定対象となるキルン窯尻や仮焼炉出口でのO2+COの測定、電気集塵機出口でのダスト測定(効率管理)、煙道排ガス中のNOx+SO2+O2測定にも採用できます。
お客様の期待
- セメント工場のガスの成分濃度やダストを測定したい
- 人手をかけずランニングコストを削減したい
- 設備更新のイニシャルコストはミニマムに抑えたい
各測定個所におけるサンプルの条件
測定箇所 | |||||||
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条件 | ◆1 キルン窯尻 |
◆2 仮焼炉出口 |
◆3 SP 出口 |
◆4 煙突入口 |
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測定成分 | O2+CO+CO2 | O2+CO+CO2 | (O2)+CO+CO2 | NOx+SO2+O2 | |||
ガス温度(℃) | 1050~1200 | 600~850 | 350~400 | 100~130 (max200) |
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ダスト量 (g/Nm3) | 200 | 100~200 | 60 以下 | 0.1以下 | |||
圧力(kPa) | -0.2~0.5 | -3~-2 | -0.2~0.5 | 1~2 | |||
ガス成分(Vol%) |
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O2 | 2~4 | 2~4 | 3~5 | 3~5 | |||
CO | 0.2以下 | 0.2以下 | 0.2以下 | 0.2以下 | |||
CO2 | 23~26 | 23~30 | 23~30 | 23~30 | |||
H2O | 9~11 | 9~11 | 9~11 | 10~15 | |||
N2 | 残 | 残 | 残 | 残 | |||
SO2 | 0.1以下 | 0.1以下 | 0.01以下 | 0.01以下 | |||
NOx | 0.01以下 | 0.01以下 | 0.01以下 | 0.01以下 | |||
測定システムの主な 構成機器 | 水洗水冷プローブ 水エゼクタ方式サンプリング装置 IR202 赤外線ガス分析計 |
水洗プローブ(*1) (*1)ガス温度が800℃以上の場合は、 |
水洗プローブ |
SG1000 煙道ガス濃度計 |
プロセス概略
セメント製造設備における分析計の設置ポイント
【セメントの製造工程】 まず、石灰質原料・粘土質原料などをドライヤで乾燥した後に調合し、原料ミルで粉砕して粉末原料とします。この粉末原料を焼成工程に送り、予熱装置(サスペンションプレヒータ)および仮焼炉で予熱を加え脱炭酸し、キルンで焼成してクリンカにします。次に、キルンから出てくるクリンカをクリンカクーラで冷却したのち石膏を加え、粉砕機で粉砕してセメントを完成させます。