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グローバルな視点で未来シナリオを描く - 世界に向けて共創をリードする -

グローバルな視点で未来シナリオを描く―世界に向けて共創をリードする―

今回のインタビューでは、前回登場したシステムコンサルタントの清武康平に加え、海外営業を担当する古屋佑樹の活動にも焦点を当てる。共にYOKOGAWAの「未来共創イニシアチブ」で活動するメンバーとして、未来シナリオを作るために膨大な知識を吸収し、方針を定め、シナリオを細部にまで落とし込み、形にしていく――。この制作プロセスで直面した数々の困難を、二人はいかにして乗り越えたのか? そしてその中で得られた自身の学びや、再認識した本活動の価値、そして今後目指している抱負について聞いた。

 

初めから“英語ありき”で作られた未来シナリオ

「未来共創イニシアチブ」のシナリオは、YOKOGAWAのシナリオアンバサダーたちが作成したドラフトを基に、米国のリサーチ・コンサルティング企業で独自のグローバルネットワークを活用するフロスト&サリバン社による協力の下、最初のバージョンを英語で作成し、その後、日本語に翻訳された。この未来シナリオ制作を主導した一人が、シナリオアンバサダーの古屋だ。彼の本業は、再生可能エネルギー、従来電力の分野を主体とした、カーボンニュートラルの実現に向けたソリューション提案などをグローバルに展開する海外営業である。通常の業務もほぼ英語で行っており、企画やマーケティングなども含めて多岐にわたるサービスをお客さまに提供している。

古屋が、未来共創イニシアチブに参加した動機は何だったのか?

「何かもっと広い視野を持って、社内外の方々と対話できる場に関わりたいなと思ったのが、大きな理由でした。通常業務では、感覚的に1~3年くらいの時間軸でビジネスを見ています。しかし、直近ではなく未来を見据えながら、普段はお付き合いのないステークホルダーの人たちと、どのようなコラボレーションができるのか? 本活動ではそれを自分の中で探索し、見いだせると考えました」

古屋 佑樹 氏
海外営業を担当する古屋は、グローバル視点で未来シナリオ制作を主導した一人

従来、工場や開発現場のソリューションを提供してきたYOKOGAWAだが、2022年に発表した未来シナリオは、産業全体、あるいは全世界を視野に入れた視点で作られた。さらに、オリジナル版で作成する言語を、日本語ではなくあえて英語とした理由について、古屋は次のように振り返る。

「全世界に公開して対話するのが目的なら、グローバルな視点で作り、英語で発信するコンテンツにすべきだろうと考えました。日本語を起点にすると、表現やシナリオを作る上でのプロセスが日本寄りになってしまうからです。また、後で英語に翻訳されたとしても、そういった部分が壁となって、グローバルに通用するような対話が実現できないのではないか、という懸念がありました」

 

さまざまな壁に突き当たった未来シナリオの“産みの苦しみ”

未来シナリオは、欧米・アジアを中心とする外部アドバイザーとも議論を重ね、グローバルトレンドに深い理解がある早稲田大学ガバナンス&サステナビリティ研究所やYOKOGAWAトップマネジメントの意見も反映し、約2年の歳月をかけてアップデートを重ねながら完成。しかし、そこに至るまでのプロセスは、決して容易なものではなかった。

「2035年という未来の捉え方について、元の日本語でベースとなるものがあったものの、どのような考察でそのシナリオに至ったのかという仮説を説明し、グローバルな規模で仕立てていく必要がありました。当初、外部アドバイザーとの間では、未来シナリオに対するイメージが同一ではなかったため、このイメージを擦り合わせていくところからスタートしなければなりませんでした。この点が合致しなければ、たとえ同じ言語を使っていても、実は全く違う話をしていた、ということになりかねないからです。対話を重ねる中で、どのように共感してもらえるかを模索していきました」

普段から英語で仕事をしている古屋だが、異なる考え方を融合し、まとめていくプロセスは大きな挑戦だった。

4つの未来シナリオ
4つの未来シナリオは、グローバル視点での対話を目指し、英語ありきで始まった(英語版シナリオ Future Scenario 2035: A Journey Through Timeより抜粋)

「一つ一つの言葉に対して、捉え方や使い方、あるいはそこまでに至る考察がそれぞれ異なっていて、お互いの認識の違いがありました。しかも、未来シナリオは対話に使うものなので、良い対話を生み出すにはどのような視点で考えたらいいのか? ここが非常に苦労したところです」

他方、清武も同じように、意識共有の難しさを痛感していた。「一つは、私の基本的な思考モードが日本語であるために、世界観のイメージを伝えるときに、英語の文脈で正しく置換されているのか、なかなか確信できませんでした。もう一つは、英語版の制作に関わった外部アドバイザーが途中参加だったことから、2年前からシナリオを作成していた私たちとの間で、意識のタイムラグがあったことです」。

YOKOGAWAのチームが先に持っていた時間的な厚みと、外部のプロフェッショナルが得意としているグローバルな視点を、どのように融合すれば良いシナリオが描けるのか。限られた時間の中、英語でのコミュニケーションを通してこれらをまとめるのに腐心したという。

清武 康平 氏
システムコンサルタントの清武は、事実やデータを駆使する理論派

 

YOKOGAWAが全世界に向けて発信する価値とは

さまざまな苦労や試行錯誤を経ながらも、未来共創イニシアチブが到達した最初の成果は、2021年に入賞した日本の人事部「HRアワード2021(企業人事部門)」に結実されたといえるだろう。この受賞により、人財育成やサステナビリティなどのさまざまな観点から、多数のメディアに取り上げられ、世間からの高い評価を得た。

本活動が持つ独自の価値は、一体どこにあるのか? まずは、古屋が考える価値についてご紹介しよう。

「我々のような一企業が、自社のアピールを目的にするのではなく、『未来をしっかり考えよう』と全世界に呼び掛けた。その上で、我々の世界観とプラットフォーム、つまり“未来地図”を提示したところが価値なのではないかなと思います。つまり、ビジネス上の単なる付き合いの延長ではなく、その範囲を超えた対話のネットワークを広げ、より良い未来に向けて共創する意思があると、世に発信したことですね。

もう一つには、自分たちでゼロから勉強し、調べて、議論して、完成させたことも価値だと思っています。ミレニアル世代である私たちが、自分事として“未来を描く”。そしてそれを公開し、オープンな対話を促す。この姿勢自体が、非常にユニークなのではないかなと」

チャレンジを乗り越えて完成した「2035年の未来シナリオ 時を超えた旅〜不透明な未来を乗り切り共に明日を切り拓く」(日本語版)
チャレンジを乗り越えて完成した「2035年の未来シナリオ 時を超えた旅〜不透明な未来を乗り切り共に明日を切り拓く」(日本語版)

*ホワイトペーパーのダウンロードページへ

「ただ、我々だけでできることは限られています。内外に発信することで仲間を増やし、一緒に成長して、未来に向けて取り組んでいく。それを出発点とした未来シナリオが、結果的に評価されたのではないかと感じています」

清武は、YOKOGAWAならではの価値を以下のように分析している。

「YOKOGAWAという、ニッチな分野でグローバルに活動し、世間では知名度がさほど高くない企業が、『こういう未来を考えている』と明確な未来地図を発表したところが、驚きを持って受け止められたのではないかと思います。また、私たちほど幅広い産業の企業さまとお付き合い・お取り引きいただいている会社はなかなか珍しいようで、その経験を生かし、多様な産業の目線で未来を考えたことも価値だと思っています」

 

移り変わる世の中の出来事を自分事と捉えることは、自身の成長につながる

社内外の多くの未来共創サポーター&パートナーを巻き込み、形となっていく未来シナリオ。これまで数々の対話を重ねてきた古屋は、未来共創イニシアチブへの参加により起こった自身の変化を、どう捉えているのだろうか。

「一言でいえば、外部環境に対する視野ですね。今回の未来シナリオを作る上で、当然ながら自分の業務だけではなく、普段あまり関わらない外部環境、例えば政治・経済・環境、技術……さまざまな情報を、まずは自分の中に取り込み、それらをしっかりと落とし込むというプロセスが重要でした。こういったプロセスの中で、外部環境を分析しながら自分たちの行動を決定していく姿勢は、以前から変化したところかなと思います。

外部環境が激変する不確実な時代においては、日々の業務のみならず、世の中で一体何が起きているのか、どういう見方があるのか、また我々YOKOGAWAとしては、それらに対してどのような世界観を持っているのか――このようなことをしっかりと考えて行動していかなければ、自分自身の仕事や生活が立ち行かなくなっていくのだろうと、正直に思います」

 

未来シナリオを共通言語として対話の接点を増やしたい

最後に、今後の本活動で目指している抱負について、古屋は以下のように語る。

「国や世代、業界や業種が異なる人々と議論をしようとしても、なかなか噛み合わない。あるいは、考察した結果が全然違うものになる……こういった部分を擦り合わせるには、結局、対話を重ねていくしかないですね。そのためには、何か共通言語が必要だと考えています。共通言語である未来シナリオを我々が持っているので、相手も心を開いて対話してくれる――このような形で、いろいろな方々との接点をどんどん増やしていきたいです」

「社内外の人々とさらに多くの接点を持ちたい」と語る清武と古屋
「社内外の人々とさらに多くの接点を持ちたい」と語る清武と古屋

本活動の二十数名のメンバーで作り上げたものをベースとして、グローバルなレベルへと昇華させたのが未来シナリオである。つまるところ、それは協働する未来共創サポーター&パートナーとの対話によって磨かれ、結実した集合知の“結晶”だといえる。

そのために、今後もより多くの接点を増やすことが重要だという姿勢に、清武も古屋と歩調を合わせる。

「未来共創イニシアチブの活動とは、一緒に行動するメンバー全員の“総合力”です。古屋と私は、それを結晶化させていく役割を担っただけです。今後は、もっと若い世代、あるいは今まであまり接点のなかった社内部署の人たち、さらにはYOKOGAWAと関わってくださる機会の少なかった社外の方々とも対話を広げていくことが、双方にとっても価値のあることではないかと思っています」

 

古屋 佑樹

古屋 佑樹
未来共創イニシアチブ シナリオアンバサダー

専門分野:海外営業(エネルギー&サステナビリティ)
趣味は楽器演奏と音楽鑑賞

清武 康平

清武 康平
未来共創イニシアチブ シナリオアンバサダー

専門分野:システムコンサルティング、経営変革推進
趣味は読書、人と会うこと

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米国発テックカルチャー・メディア『WIRED』に掲載された、「未来共創イニシアチブ」の英文記事

 

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