横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

コークドラムの温度モニタ

概要

ディレードコーカー(熱分解装置)は、コーカーの一種で、残油を熱分解温度まで熱するプロセスが行われます。工業用炉の制御で最も重要な要素は温度です。温度測定は、炉全体のさまざまな箇所で行われます。温度は材料に影響を与えるため、最終製品の品質にバラツキが生じないよう正確にモニターしなければなりません。

概要

 

利点

  • 工場の立ち上げに要する期間と休止期間を最小限にとどめます。
  • 製品品質の向上:温度の連続モニタリングによって製品の品質が改善します。
  • 保守作業が軽減します(ケーブル、配線作業、ケーブル保守不要)。
  • 燃料消費を最適化し、運転費用(OPEX)を削減します。
  • 総消費電力の削減:機器の消費電力が少ないため費用を削減できます。
  • 既存ホストシステムとの統合:産業界で実績のあるModbusインターフェイスによって、さまざまなホストシステムとのシームレスな接続を容易に実現します。

 

要件

  • コーカーチューブ炉は、ディレードコーキングの中心的要素です。ヒーターが熱源であり、炉の出口温度は一般に約500℃です。
  • 以下の理由によって温度モニタリングが必要です。
  1. コーカー炉は、すみやかに熱分解温度に達するよう一定の割合で上昇する温度勾配を持つように設計されており、さらにこれによって燃料消費も最適化されます。
  2. バーナーは、チューブ温度の測定値によって制御されます。
  3. 炉内のコークスを取り除く必要があります。

コークドラムを連続運転するとチューブの裏装に絶縁層が形成され、表面温度にバラツキが生じます。

ディレードコーキングは、多くの精錬所で用いられるプロセスの 1つです。ここでは運転されるコークドラムは生産量に応じて 4台から 8台です。各コークドラムで最大24箇所の温度をモニタする必要があります。

要件

 

ソリューション

多点温度伝送器YTMX580が 3台据付けられました。それぞれ 8箇所の温度測定値を処理できるため、コークドラム 1台に必要な伝送器は3台で済みます。障害物が密集した測定エリアから600m離れた計器室に、フィールド無線アクセスポイントが据付けられました。 2台の中継器を用いて、計測機器とフィールド無線アクセスポイントとの間に冗長な通信経路が確保されました。フィールド無線管理ステーションは、RS-485シリアルModbus通信を介してサードパーティのホストシステムと統合されました。

ISA100 Wirelessシステムはカスタマイズが容易なGUIを備えており、これによって操作員は確実に無線トポロジーをモニタすることができます。通信品質を視覚化することで、プライマリパスとセカンダリパスの誤り率などの無線状態を識別することができます。

ソリューション

 

まとめ

  • 無線ソリューションによって、現場から計器室へ延びる膨大なケーブルの本数を減らすことができました。
  • 入力 8点10秒ごとの温度測定という条件下で、高容量塩化チオニルリチウム電池の寿命は18カ月を超え、OPEXを削減することができました。
  • 産業界で実績のあるModbusインターフェイスによって、既存のサードパーティ・システムと容易に接続することができました。
  • ISA100 Wirelessは通信範囲が広いため、必要なインフラが最小限で済みました。据付け期間と費用の削減という直接的な恩恵がお客様にもたらされました。
  • ISA100 Wirelessアーキテクチャの信号可用性はクラス最高を誇り、無線接続も安定しています。今回もお客様の要件をすべて満たし、高信頼の無線ソリューションであることが実証されました。
  • ネットワークトポロジーは変更可能であるため保有コストが削減されます。必要な場合には、いつでも機器を追加することができます。

当社は、一世紀にわたり高信頼でスケーラブルなオープン技術を提供してきました。ISA100 Wirelessソリューションは、お客様の所有費用を削減し投資収益率を最大限にすることで、インダストリアルオートメーション産業の課題解決に対応しています。

業種

  • 石油

    日本の石油産業の各お客様は、プラントの老朽化や運転員の世代交代といった運転リスクの増大に対して、現場の保安力強化をはじめとする様々な取組みを進められています。
    当社は、計測・制御・情報の分野で長年培ったノウハウと最新・最高の技術をベースに、日本の産業基盤を支えるお客様の課題解決ソリューションを提供し、お客様の将来の発展に向けた新たな価値を共創していきます。

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