横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

最先端バイオ医薬品工場を支えるCENTUM VP&Yokogawa ソリューション

Merck Serono Co., Ltd. logo

概要

Merck Serono Biotech Center, Vevey, Switzerland
Merck Serono Biotech Center, Vevey, Switzerland

スイスのコルシエ・シュル・ヴヴェイにあるメルクセローノ・バイオテックセンター(Merck Serono Biotech Center, MSBC)は、メルクセローノのバイオ医薬品製造とプロセス開発のためのセンターです。組換えDNA技術を用いて、生細胞から創られたタンパク質などの大きな分子構造から構成されているバイオ医薬品を生産しています。1999年から操業しているMSBCは、世界の最大かつ先端技術を有するバイオテクノロジーセンターのひとつであり、臨床試験向けと量産向けバイオ医薬品を生産し、また、高性能なプロセスの開発に取り組んでいます。

このセンターでは、小型から大型までの哺乳類の細胞培養技術に関する特定の専門知識を持っており、さまざまな技術基盤を使用しています。現在は、メルクセローノの多発性硬化症の治療のためのRebif®(インターフェロンベータ-1a)および癌治療を標的としたErbitux®(抗体医薬)のような有効成分を生成しています。

Erbitux®およびその他のバイオ医薬品などのモノクローナル抗体の世界規模での生産を可能にするよう、生産量を増やすための拡張プロジェクトが最近完了しました。新施設は、上流プラント(Upstream Plant, USP)と、下流プラント(Down Stream Plant, DSP)、生産に必要な、水、空気、蒸気などの清潔な媒体を供給するためのユーティリティエリア、さらに敷地内の排水処理プラントで構成されています。この新しい大規模バイオ(Large-scale biotech, LSB)生産施設のために、横河ドイツは、統合生産制御システム『CENTUM VP』、バッチ管理パッケージ『VP Batch』、バッチプラント情報管理システム『Exaquantum/Batch』、統合機器管理ソフトウェアパッケージ『PRM』を、2,000台以上のFOUNDATION™ フィールドバス対応機器と、約6,500台のPROFIBUS™対応制御弁と共に収めました。この事業を支援するために、横河ドイツは、横河スイス(1999年設立)に協力を求め、また地元のエンジニアリングおよびサービスパートナーとの戦略的パートナーシップを締結しました。メルクセローノは、その後、横河スイスとライフサイクル保守契約を締結しました。

Operator guided by electronic batch record (EBR) at USP 1   Operator guided by electronic batch record (EBR) at USP 2

お客様の課題とソリューション

1. LSB生産のためのトータルシステムインテグレーション

メルクセローノの目標は、ERP(Enterprise resource planning, 経営資源計画)からオートメーションシステムまで、プロセスの完全電子化を要する 「少量から大量までの統合されたe-plant」を持つことでした。多くの異なる種類のソフトウェアパッケージは、この高度な製薬施設で使用されており、PROFIBUSインターフェース対応PLCのような様々なシステムがプラントのコアオートメーションシステムである『CENTUM VP』と統合されています。

多数のパラメータを持つレシピは、すべてVPバッチ·パッケージを使用して管理され、プロセスシーケンスはシーケンシャル・ファンクション・チャート(SFC)の機能により、システムに設定されています。複数の異なった操作画面を表示することにより、オペレータはバッチプロセスの個々の段階における現在の状態を一目で識別することができます。オペレータは、いつでも、この施設内のどこにいても、See, Know, Act(*1)を行う事ができます。

すべてのバッチ操作からの生産データは『Exaquantum/Batch』に集められ、米国連邦規制第21条第11章(21 CFR Part 11, 通称Part 11)に基づく電子記録要件に適合したバッチリポートが自動生成されます。 これによりオペレータは明確に各バッチの動作結果を見ることができます。『Exaquantum/Batch』 は、原料管理、調剤、細胞培養、精製、総合的品質管理に関連する製造実行システム(Manufacturing Execution System, MES)と重要なデータをやり取りします。データはまた、製品の品質を分析し、オペレーショナル・エクセレンス(*2)の達成のために不可欠である、すべての操作の効率を確認するために使用されます。すべての生産データの可視化は、水、電気、およびその他の資源の使用状況の改善を可能にします。

(*1) 横河電機が提唱するVigilantPlantによる顧客メリット。
See:プラントを隅々まで見渡す、Know:収集した情報により将来を予見する、Act:俊敏な操業でビジネスの成長を支える
(*2) Operational Excellence、VigilantPlantの目標である“理想の操業”

2. コンピュータ化システムバリデーション

GMP(Good Manufacturing Practice, 医薬品および医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)規制環境下にある製薬会社に、製品および(または)エンジニアリング・サービスを供給するオートメーション・システム・ベンダーは、CSV (Computerized systems validation, コンピュータ化システムバリデーション)の実施が要求されます。
この様な目的で、メルクセローノは、GMP適合性を評価するために、横河ドイツのサプライヤ監査を実施しました。横河ドイツはGAMP5(Good Automated Manufacturing Practice Version 5, 自動化製造実践規範 5版)を遵守し、品質管理と教育システムを導入しています。メルクセローノは、品質管理システムの監査を実施し、達成された結果に完全な満足感を示しました。

3. 設備管理

この複合LSBの生産施設に設置された、何千ものFOUNDATION フィールドバス機器とPROFIBUS制御弁の継続的なメンテナンスは、正確な測定と制御を確保するための鍵となります。横河電機の『PRM』が、プラントの立上げ段階でのループ、パラメータ、および異なるタイプの制御弁(それぞれ異なる特性を持つ)の、チェックや機器の診断をするために使用されました。これはプロアクティブ保全手法(*3)や計画的なフィールド機器の検査を可能にさせます。また、すべての機器データをPRMによりオンラインで監視することができ、プラントは最小限の現場作業員で操作することができます。

(*3) 保全コストを削減するために、故障が起こらないように常に状態を監視し、劣化の原因を除去する方式

お客様の声

私達の工場は非常に複雑なバッチプロセスを採用しており、柔軟な生産が常時求められています。このLSBプロジェクトは、世界規模かつ世界に誇るプロジェクトであり、私達は、世界トップクラスのサプライヤを必要としていました。多くのパッケージが使用され、多くの異なるシステムがヴヴェイのプラント中に設置されています。ですから私達は、常に可能な限りプロセスを自動化する方法を探しています。核であるプロセス制御システムは、横河電機製『CENTUM VP』とし、すべてのシステムを統合するのに必要です。
このシステムは、材料管理、調剤、細胞培養、精製、及び品質管理に欠かすことのできない重要なデータを送受信するためのMESに接続されています。私達は、『CENTUM VP』の高い信頼性と横河電機からの支援に非常に満足しています。横河電機は、プロセスの自動化とソフトウェアエンジニアリングのための私達のベスト・パートナーの一つです。

Dr. Andé Overmeye, プロジェクト責任者

ヴヴェイの施設における私たちの目標は「少量から大量までの統合されたe-plant」です。私たちは、プラント操業を自動化し、環境への負荷の少ない高効率運転を実現するために努力し続けています。この「統合されたe-plant」では、エンジニアやオペレータは、プラントのプロセスで何が起こっているかに関する情報へ、どこに居てもすぐにアクセスすることができ、その結果、迅速かつタイムリーな意思決定を行うことができます。

Mr. Nicolas Martin Clement, ePlantマネージャー

Yokogawa engineering team proudly celebrates the project success before Christmas 2010

業種

  • 医薬品

    変化の激しい現代では、今迄以上に経営判断には、スピードと正確性が求められています。
    医薬品業界においても、ICT技術を活用したパラダイムシフト(QbD、連続生産)が起き、そうした潮流の中で如何に情報をキャッチアップしていくかが企業の課題です。
    YOKOGAWAは、原薬・製剤・バイオ領域への1000を超えるシステムの導入実績を礎に、これからも医薬品産業の更なる発展に貢献して行きます。

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  • 食品

    食品製造業では、「食の安心・安全の確保」と「コストダウン」の両立といった従来の課題に加え、感染症や省力化への対応などに取り組まれていることと思います。
    YOKOGAWAは、お客様が抱える課題に寄り添い、お客様の運用に適した工場のあるべき姿をご提案していくことで、働きやすい現場づくりを支援いたします。

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    統合生産制御システム 「CENTUM VP(センタム・ブイピー)」は、プラントの設計から、エンジニアリング、システム・機器の据え付け、生産立ち上げ、さらには稼働後の改修や変更を経て運転を終了するまで、プラントのライフサイクルにわたり最適な操作・エンジニアリング環境をお客様に提供します。

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  • プラント情報管理システム Exaquantum

    Exaquantum (エグザカンタム)は、プラント操業に携わるさまざまな部門のお客様に、必要な情報を最適な形にして提供します。製造業を知り尽くしたYOKOGAWAだからこそ実現できたプラント情報管理システム(PIMS)です。

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    独自のデジタル制御技術と経験、ノウハウの粋を集めた世界最初の分散形制御システム(DCS)である「CENTUM(センタム)」は、1975年に販売開始しました。発売以来、世界100カ国以上、累計30,000以上のシステムが採用されています。

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