横河電機株式会社
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流量制御とウォーターハンマー

水の一撃

自動洗濯機を動かしている時にキッチン、浴室、洗面所等で水道管を金槌で「ゴン!」と叩いたような音を聞いたことは有りませんか?
これは、自動洗濯機の給水弁がいきなり閉じる時に発生する「ウォーターハンマー」と呼ばれる現象です。これは洗濯機に限らず、水の流れが急に停止されることで、水流の慣性で水道管内に衝撃・振動水圧が発生する現象なのです。この衝撃が水漏れの原因になったり、人によってはその音が精神的な苦痛を引起すことになります。この現象がプラントや水処理関連設備で発生すると、配管に設置されている流量計や圧力計などのフィールド機器に悪影響を与えるだけでなく、ポンプ等の機器が壊れたり水漏れ等の大きな事故に繋がることもあります。
今回は、流量制御によるウォーターハンマー防止についてお話したいと思います。

 

ウォーターハンマーを防止するには

ウォーターハンマーを防止するには 図1

一般の家庭で「ウォーターハンマー」を起こさないようにするためには、「水撃低減器」、「洗濯機用水栓」などの水道部品が幾つか販売されているので、それらを取り付ければ比較的簡単に解決できます。ところが、プラントや水処理装置等では、流体が水以外の液体だったり管内圧力が高い等の理由で、簡単な部品を取り付けることでは「ウォーターハンマー」を防止できません。流体の流れを止める際、徐々に流量が少なくなるような制御が必要です。一般的に液体の流れは、バルブを操作端とする調節計により制御されています。この流れを止める時には、急にバルブを全閉しないように、バルブの制御を「流量を制御している調節計」と、徐々にバルブを閉じていくような「プログラムを持った制御機器(PLC等)」と組合わせることが必要です。(図1)

 

UTAdvancedによるウォーターハンマー防止

UTAdvancedによるウォーターハンマー防止 図2

前の項で述べた、流量を調整しているバルブを徐々に閉じるための制御を行うには、プログラム調節計やPLCを使用することになりますが、設定等に手間や時間が掛かります。
UTAdvancedはラダーシーケンス機能を標準装備しているので、従来、小型PLCでタイマやリレー等を必要としていたアプリケーションに対しても、UTAdvanced 1台で対応できるようになっています。(図2)

UTAdvancedによるウォーターハンマー防止 図3,5

図3は、バルブを制御するための制御信号を表したものです。制御を開始から調節計のPID機能にて、徐々にバルブを開けていき、その後一定に制御していきますが、バルブを閉じる際には、いきなり制御信号がOFFにならないように、「徐々下げシーケンス」制御を行います。シーケンス制御のためには、「ラダープログラム」と呼ばれるプログラムを作成する必要があります。ラダープログラムはシーケンス図(電気回路図)をベースにしており、入力条件と出力の関係を視覚的にイメージしやすいプログラム言語になっています。ラダープログラムでは命令語とデバイスを組み合わせて記述します。このUTAdvancedでのラダープログラム例を下の図4に示します。
このプログラムのイメージを図5に表していますので、合わせてご参照下さい。

UTAdvancedによるウォーターハンマー防止 図4

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