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世界の人口は、1日あたり約22万人増加しています*1。この勢いで増え続ければ、2050年までに世界のエネルギー需要は50%増えるとの予測*2がある一方、今日でさえ、数十億人が電気を利用できない環境に暮らしています。エネルギーの利用効率を上げるとともに、安価で持続可能な方法による発電を進めていくことが求められている今、再生可能エネルギーを一過性の流行に留めることなく、持続性のある確かな未来のテクノロジーへと育てていく必要があります。

地球からの贈り物を再生可能な資源で置き換える

― 従来型のエネルギー資源への依存から脱却すべく、再生可能エネルギーに注目する動きが世界中で広がっています

石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料は、今なお世界のエネルギー供給量割合の約80%を占めています。風力、バイオマス、太陽光といった代替資源も急速に実用化されていますが、現時点では約26.2%に過ぎません*3。人口増加や経済発展により、世界のエネルギー需要は増加の一途を辿っていますが、再生可能エネルギー資源の開発がこれに追い付いていないのです。いまだ化石燃料への依存から抜け出せていないのが現状です。

それでも、再生可能エネルギーの開発と実用化は着実に進んでいます。2019~2024年にかけて、世界の発電増加量はおよそ1,200ギガワット増加すると予測されています*4。これは、現在のアメリカ一国分の設備容量にほぼ匹敵する数字です。さらに2019年5月に国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、集光型太陽熱、バイオエネルギー、陸上風力、水力、太陽光による発電の世界の加重平均コストは、対前年比で2桁の削減を達成すると報告しています。

とくにヨーロッパは、先進的な取り組みで世界をけん引しています。再生可能エネルギーの進化を後押しするのは、テクノロジーの進歩、積極的な政策立案、さらには国民意識の高まりです。大規模データセンターを運営する大手IT企業などの民間企業や地域コミュニティーに対し、投資家や世論が再生可能エネルギーへの移行を強く求めるというケースも増えています。

津軽平野

「現時点では風力は手つかずの未開拓なエネルギーだが、風の制御と利用こそが、これからの偉大な発見の一つとなり得るだろう」
Abraham Lincoln, 16th President of the United States*5

日本海に面した青森県の津軽平野に位置する「ウィンドファームつがる」は、国内最大規模を誇る陸上の風力発電施設です。株式会社グリーンパワーインベストメント(GPI)が手がけたこの施設は2020年4月1日に商業運転が開始され、38基の風車が稼働しています。発電設備容量は約9万世帯分の電力に相当する121.6メガワットに達しています。

プロジェクト開始から操業までの道のりは決して平坦ではありませんでした。この地域の豊かな自然を守りながら、主要産業である農業との共生をはかるため、土地所有者や地元の関係者との交渉、地方自治体や国からの許可の取得、専門家を招いた環境アセスメントの実施などを慎重に進め、関係者の理解を得ることができたのです。また、農業を営んでいる地域において、自然にやさしい協調型の再生可能エネルギー開発を支援する法律が定められたこともあり、地域の特性を活かした分散型エネルギー事業への道が開かれていきました。

このプロジェクトには、再生可能エネルギー技術が大集約されています。風車の輸送・設置といった土木工事から、地中送電線や配電線、変電所の建設まで、最新の技術があらゆる面で応用され、企業同士が連携することによって、建設が進められていきました。風力発電所の適切な運営方法を巡っては、地元の関係者と長年にわたって議論を重ねながら考案された運営システムが採用され、地域産業の活性化に大きく貢献することが期待されています。設計から建設、導入、試験、実際の操業までに至るノウハウが凝縮されたこのプロジェクトは将来の風力発電業界に大きく寄与していくことでしょう。

バランス・オブ・パワーへのシフト

― YOKOGAWAは、計測・制御技術における豊富な経験を活かし、先進的でダイナミックな運営と優れた効率性をサポートします

風力発電には、昼夜を問わない運転や高い発電効率といった利点とともに、風が途切れたり風向きが変化したりするという欠点があります。必要なのは、利点と欠点のバランスを適度に調整することです。また、多くの風力発電施設は遠隔地に設置されており、天候や地形の問題、人の配置といった課題があります。そこで有効なのが、IoTテクノロジーとインフラを統合した監視制御フレームワークの活用です。

風力発電所は複数メーカーの製品を採用するため、さまざまなタイプの計測器が混在しています。こうした中で、発電所や変電所の情報、さらには風力発電設備の稼働状況や時間、警報などの情報を効率的に管理する必要があります。YOKOGAWAは、これらの難題に応えるための管理システムを提供しています。 YOKOGAWAの開発したリアルタイムOS対応の次世代のLinuxコントローラは、計測と制御の同時実行を可能にしています。制御信号や、各インタフェースから収集した通信データを基に、分散型発電設備の最適な制御を行います。また、オペレータインタフェースとして採用されているSCADA(FAST/TOOLS)は、メーカーを問わずに各種のコンポーネントを統合するリモート監視を行うことができるため、異常の早期検出、運用効率の向上、さらには運用コストの削減を実現します。

また、YOKOGAWAではビッグデータを解析し、メンテナンスの最適化に活用する開発を進めています。発電効率の向上を目指し、気候関連データの活用、エネルギー需要の地域予測、供給計画の策定についても研究を重ねています。 さらに、高度なエネルギー管理技術、エネルギー資源の遠隔制御、総合管理などを活用し、総合発電所(仮想発電所)として機能する新しい分散型フレームワークも構築しつつあります。これらを実現するため、情報通信企業や電気機器メーカーとの共同開発を進めています。そして、風力発電の安定化と利用拡大を支援するため、蓄電池に関連した技術開発にも着手し始めています。再生可能エネルギーの進化に貢献するため、これらの取り組みをますます加速させていきます。

次世代に語り継ぐ

「私たちは今、産業革命の規模やデジタル革命のスピードに匹敵する、グローバルな『持続可能な革命』の初期段階にあり、これらを明確に示す具体的な指標を持っています」
Al Gore, Former Vice President of the United States and David Blood, Investor*6

「品質第一、開拓者精神、社会への貢献」。創業者である横河民輔の経営哲学に基づいたこの言葉は、時代や環境が変わっても変わることはなく、現在もYOKOGAWAグループの創業の精神として受け継がれています。より豊かな人間社会に貢献するということを使命(パーパス)と捉えています。

積極的にパートナー企業と共創しながら挑戦を続け、業界のパイオニアとして、技術やノウハウを磨いています。例えば、これまでに築き上げた情報技術の分野においては、ビッグデータを単なる情報から価値ある資産に変えたりしています。また、一朝一夕にはいかないかもしれませんが、新たな事業領域にも挑戦しています。歴史的にも、グローバルな規模においても、さまざまな変革に貢献していくことでしょう。

100年以上の歴史を持つYOKOGAWAは、ものづくりの基幹を担う計測・制御・情報技術において、お客様とともにイノベーションを起こしながら、多くの研究開発を支えてきました。人々が暮らすこの地球環境を守り続けるため、今後もさまざまな企業活動を通じて、世界における社会的課題や環境問題への取り組みを続けていきます。


参考文献

*1 : World Population Balance – Frequently Asked Questions
*2 : U.S. Energy Information Administration, International Energy Outlook 2019
*3 : C2ES(Center for Climate and Energy Solutions), Renewable Energy
*4 : International Energy Agency, Renewables 2019
*5 : Abraham Lincoln, 16th President of the United States, Discoveries and Inventions, 1860
*6 : Al Gore, Former Vice President of the United States, and David Blood, Investor, Joint Article, WIRED UK April 2018

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