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現実の風景にはないものを、あるかのように認識させ、人々の体験をダイナミックに拡げるAR(拡張現実)。このテクノロジーは、製品の設計や製造、オペレーション、修理などのあり方を根本的に変える可能性を秘めています。ARの進化は、私たちのライフスタイルやビジネスを一変させようとしているのです。

ARは、コンピューターが創り出した仮想世界を現実の世界に重ね合わせることで、人間の知覚を拡張するテクノロジーです。対象物にスマートデバイスをかざすだけで、そこにあるものや空間を認識してデジタル情報をプラスし、画面上でリアルとデジタルが合成された演出を可能にします。昨今、スマートフォン上にリアルタイムで現れる仮想キャラクターを捕獲するゲームが話題を集めましたが、このブームにより、ARは一躍ポピュラーな存在になりました。

ゲームの世界にとどまらず、私たちの生活にインパクトを与える実用的なアプリケーションも登場しています。すでに、あるグローバルテクノロジー企業は、暮らしの中でのARの活用に取り組んでいます。たとえば、家庭用ガスメーターにスマートフォンをかざすだけで即座に使用状況を把握でき、利用者自身がガスの使用量をコントロールして、省エネを実現できるアプリケーションを提供しています。さらに、家の設計図面上に立体的な完成像を表示し、その模型を3Dプリンターで出力できるアプリケーションや、カタログ上の製品画像を3Dで確認し、その場でオーダーできるアプリケーションなども開発されています。このように、ARの活用で、消費者はより良い購入判断のための総合的な情報収集が可能になるのです。ARアプリケーションは大いなる可能性を秘め、暮らしのあらゆる側面にこれまでにない利便性と新たな知見をもたらしていくでしょう。

かつて夢に過ぎなかった技術が急速に現実となっていく。私たちはまさにその瞬間に立ち会っています。

ARは産業の未来を牽引する

テクノロジー企業のリーダーたちは、今後ARが巨大市場に成長すると確信し、これまでのビジネスや製造活動に変革をもたらす新たな基盤づくりを進めています。産業界でも検査や物流、建設、オペレーションなどの分野でARを活用する試みが模索され、とりわけ製造業ではオペレーションの改善や効率化におけるARの導入が推進されています。たとえば、ARを用いてプラントオペレータを視覚的にサポートすれば、労働人口の減少やオペレータの高齢化による技術継承などの課題への対処が可能になります。また、安全性の改善という側面においても、人為的ミスによる事故防止のためにARを活用した対策が期待されています。

実際に、ある日本企業では現場でのオペレーションに必要なマニュアルや作業指示をウェアラブルデバイスに織り込むことで、作業の精度と質を高めています。ARで表示された情報によりオペレータは必要なタスクの正確な手順等を確認でき、さらには、あらかじめ有害化学物質などの危険物の位置も認識できるようになります。

IoTのさらなる拡がりやビッグデータ活用の普及を受けて、今後も急速な導入拡大が予測されるARアプリケーション。ARは、産業活動や私たちの生活に変革をもたらす上でますます重要な役割を果たしていくでしょう。

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