横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

凝集剤添加活性汚泥法

返流水のある処理場での事例

集約汚泥処理施設より返流水を受けている処理場

本事例は、集約汚泥処理施設より、返流水を受けている処理場での例です。
通常の運転に返流水の負荷が加わるため、処理水のりん濃度が安定しにくい状況になっています。この返送水対策としてりんの負荷を確認するために初沈出口と、りん処理状況を確認するために処理水の2流路を、全りん計を設置し測定を行いました。また、PAC 注入ポイントの最適化の検討も行いました。注入ポイントの検討は、反応タンク末端と返流水路です。

全りん濃度時系列変化のグラフ


この図は、全りん濃度の約1ヶ月半の時系列変化のグラフです。
赤い線が目標の1.5mg/L です。PAC は定量注入を行いました。測定結果から、初沈出口水と処理水のりん濃度比を見ると、負荷が大きいのに、PAC 注入の効果が顕著に現れ、放流水質も安定しているのは反応タンク末端で注入した時で、返流水がある処理場では、反応タンク末端に注入するのがより好ましいことがわかります。
添加量は3L/min でも不足はないようですが、今回の定量注入の場合、若干オーバーしているところも見られます。そこで、次に注入方法について検討を行いました。

定量方式の場合は、下図のように上限を超えないように多めに注入し続けなければなりません。
一方、負荷量比例注入は、このように負荷量に応じて注入するもので、定量注入に比べると、黄色の部分だけ PAC を削減できるわけです。これは、負荷量変動が大きいほど、黄色の部分が多くなり、コストの削減ができる可能性があります。
従って、今回のように、返流水が入って、流入のりん濃度が大きく変わる場合には、非常に有効な注入方法と言えます。

定量方式の場合

今回の事例での対策として、以下の結論を得ました。

  • 返流水のある処理場では、PAC 注入は反応槽末端で行うのが良い。
  • PAC 注入は、りんの負荷量変動が大きい程、負荷量比例注入方式が有効である。
  • これにより、PAC コストは年間10~20% 程度削減が見込める。
  • 細やかな PAC 注入制御を行うためには、りん負荷量を確認するため、全りん計等の水質モニタを用いての連続監視が有効である。

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