100周年記念誌「時代を超えて-Always Reaching Higher-」
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アナログLSIテスタYEWCOM9000μXL広告YEWMACディジタルオシロスコープ1974年に設立されたYokogawa Electric SingaporeFA50047YOKOGAWA 100th Anniversary 1980年代前半、高性能・低価格の日本製品が欧米市場を席巻、経済摩擦を生んだ。日本は円安是正や内需振興を求められ、1986年こそ円高不況に陥ったが、同年末から景気は回復に向かった。 合併後、制御事業は順調に発展した。「CENTUM V」、パッケージ計装制御システム「YEWPACK-MARKⅡ」、さらには「CENTUM-XL」、中小規模分散形制御シス テム「μXL」と新製品発売が相次ぎ、DCS事業は大型 プラントから中小型プラントまでをカバーして普及期を迎えた。 また1970年代に引き続き、多角化も進展した。1980年代の日本の産業構造の変化で新たなリーディング産業となった電気・電子分野のお客様のニーズに応えるため、 電子計測事業の再構築が行われ、半導体テスタやディジタルオシロスコープへの新規参入を果たした。合併後の効率化により生み出された多くの開発・営業人財を生かし、 PA(Process Automation)以外のシステム事業への新規参入も行われた。 まず非連続プロセスの制御・情報システムをターゲットとするFA(Factory Automation)事業では、汎用ミニ コンピュータシステム「YEWCOM」、生産ライン制御 システム「YEWMAC」、プログラマブルコントローラなどの新製品が続々と誕生し、製品の提供からシステム構築まで幅広い領域で事業の展開が進んだ。「YEWMAC」はFAだけでなくPAや後述するBA(Building Automation)のプラットフォームとしても活用された。 次に、1980年代後半のインテリジェントビル建築ブームに乗じて、ビル内の空調など各種機能を自動制御化・ 省力化するBAシステム市場に参入した。またラボ分析分野、OA(Ofce Automation)分野、LA(Laboratory Automation)分野にも参入した。全ての新事業が継続している訳ではないが、1980年代は多くの領域で新分野への挑戦が試みられた。円高の時代と多角化への挑戦 創業期から当社は、国内でのビジネス拡大に取り組むとともに海外での知名度向上に努めた。1919年には商社経由で初めて計器を海外輸出し、1930年には海外博覧会へ測定器を出品した。戦後は1950年に海外視察を再開し、後のフォックスボロ社との提携に結実した。初の海外拠点が1957年にニューヨークに設立され、翌年米国の計装分野の学会併設展であるISA Showへも出展した。また中国でも展示会出展や技術交流、輸出が始まり、当社の知名度は大きく向上した。 1960年代、西欧では代理店を通じた計測器の直接輸出、東欧へは商社を通した間接輸出が行われていた。1966年にはハンブルクに駐在員事務所を設立して販売促進を図った。 1973年にフォックスボロ社との提携で問題が持ち上がり1975年に解消に至ったことは、当社にとって 危機であったが、これを自立の好機と捉えた当社は、 自前の販売・サービス網の構築を急いだ。 1973年にはブラジルに販売・サービス拠点を、1974年にはシンガポールに製造子会社、ヨーロッパに販売・サービス拠点を、1975年にはシンガポールに販売・サービス拠点を設置した。ヨーロッパの拠点は1982年に買収したオランダの分析計メーカー、Electrofact社を核とし、欧州全域の販売網、技術開発・製造・アフターサービスを担当する拠点に発展した。海外市場の開拓と互恵の精神

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