横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

世界初 無線通信規格ISA100.11aに準拠したフィールド無線機器発売のお知らせ

2010年6月10日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:海堀 周造)は、インダストリアル・オートメーション用無線通信規格ISA100.11a※1 に準拠したフィールド無線機器を世界で初めて製品化、7月から販売を開始するのでお知らせします。これを第一弾として、当社は今後、ISA100.11aに準拠した製品のラインアップを充実させ、フィールド無線ビジネスを本格的に展開します。
 今回発売する製品は、ISA100.11aに準拠した差圧・圧力伝送器「EJX-Lシリーズ」、温度伝送器「YTAシリーズ」と、フィールド無線用一体形ゲートウェイ※2です。これらの製品を導入することで、従来のフィールド無線機器と比較してより幅広い用途でフィールド無線ネットワークの構築が可能になります。
 当社は、無線技術と既存の有線技術を活用してフィールド機器を有機的に統合する新しいフィールド・デジタル・ネットワークを提案することで、お客様の生産性向上に貢献します。

左:フィールド無線用一体形ゲートウェイ、中央:差圧・圧力伝送器「EJX-Lシリーズ」、右:温度伝送器「YTAシリーズ」
左:フィールド無線用一体形ゲートウェイ
中央:差圧・圧力伝送器「EJX-Lシリーズ」
右:温度伝送器「YTAシリーズ」

開発の背景

 プラントを構成するフィールド機器と制御システム間の通信を無線化することで、配線、エンジニアリングコストを削減でき、配線が困難な場所にも機器の設置が可能になるなど、多くのメリットがあります。一方、プラントに無線通信を導入するためには、電波干渉の回避やセキュリティの確保など無線方式に必要な一般的な条件に加え、プラントを安定して稼動させるために必要な高い信頼性、リアルタイム性、耐環境性をもち、防爆対応がされている必要があります。そのため従来は、通信の実時間性やデータ到達の確実性が比較的ゆるいデータのロギング、機器の状態監視など限られた用途で無線通信が導入されていました。
 2009年9月に発行されたインダストリアル・オートメーション用無線通信規格であるISA100.11aは、高い信頼性、対応可能なアプリケーションが多様、ネットワークを拡張しやすい、各種有線規格と高い整合性が期待できるという特長があります。
 当社は、お客様にとって理想のプラント操業を実現する“VigilantPlant® (理想の工場)”※3を制御ビジネスのビジョンとして掲げています。このビジョンに基づき、最適なフィールド機器をお客様が自由に選択できる環境を整えるために、ISA100.11aに準拠したフィールド無線機器を世界で初めて製品化しました。今後も当社は、高度な制御技術を必要とする連続工程における制御の無線通信化を視野に入れて、製品の開発に取り組みます。

製品のコンセプト

  1. 制御への応用を視野
    暗号化処理でデータのセキュリティを確保した双方向のデジタル無線ネットワークを構築するので、生産情報(プロセス値)、機器の状態情報、パラメータ値などさまざまなデータの送受信が可能です。そのため、従来の状態監視、状態診断の監視、パラメータ値調整などの用途に加え、生産制御が無線通信でも可能になります。
  2. 多様な電源要求への対応
    防爆仕様の電池ケースに大容量の電池を収納してから機器に取り付けるので、最小の保守 頻度で防爆エリアでも簡単に電池を交換することができます。将来的には、太陽光エネルギーなどを利用した電源供給技術の開発にも取り組み保守効率の向上を図ります。
  3. 新技術および新アプリケーションへの発展
    新たな無線技術が開発された場合でも、無線インターフェース部分を交換するだけで、柔軟に機能の追加、変更に対応できます。また、既存のシステムとの高い整合性により、お客様の保有資産を無駄にすることなく有効活用することができます。

主な市場

石油・天然ガス、石油化学、化学、鉄鋼、紙パルプ、電力、水処理などプロセス製造業全般

用途

プラントにおける温度測定、流量測定やタンクのレベル測定

トライアルプログラムのお知らせ

今回の発売にあわせて、フィールド無線機器のメリットをより多くのお客様に体験していただくために、導入希望があり導入の条件が合致するお客様を対象にトライアルプログラムを展開します。

※1 ISA100.11a
国際計測制御学会(ISA; International Society of Automation)のISA100委員会が策定し、2009年9月にISA規格として発行されたインダストリアル・オートメーション用無線通信規格。今後、IEC(国際電気標準会議)のIECSC65Cサブ委員会に提案され国際標準化への活動が本格化する。

※2 フィールド無線用一体形ゲートウェイ
フィールド機器と当社の統合生産制御システム「CENTUM® VP」などの上位システムを接続する機能と無線ネットワークに必要な各種データの設定・管理機能の両機能を一体化した機器。

※3 VigilantPlant® (理想の工場)
当社が提唱する、お客様にとっての理想のプラント・操業を実現するビジョン。当社は、プラント操業を「安全性」・「信頼性」・「生産性」の視点から捉え、それぞれに該当する製品群、ソリューション群、サービス群を提供することで、お客様のビジネスの長期的な発展を支えることを目指しています。

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