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第4火力発電所(第1期)/モンゴル

モンゴル最大の火力発電所向け制御システム改修

国民のライフラインを死守せよ
 
お客様の声:
「百聞は一見にしかず。どんなにセールス文句を並べられても、私は自分の目で見ない限り信じない。プラントトリップの時、私は横河という会社の本質、その誠実さが分かった。」

(バヤバタール氏/ 第4火力発電所所長)
1. より安定したエネルギー供給
ウランバートル市内への、電力・温熱水供給量の上昇。

2. 緊急事態の回数の低減
設備の信頼性、オペレーションの安全性が向上。事故は年々減少。

3. 省エネ効果と大気汚染防止
旧ソ連製石炭ボイラ、補機、周辺設備の全自動化制御により、ボイラの燃焼効率が大幅に向上、省エネ効果と大気汚染ガスの削減を実現。
  第4火力発電所 /モンゴル
第4火力発電所 /モンゴル

 真冬の最低気温がマイナス40℃にもなる極寒の地、モンゴル。発電所から生み出される電気と温熱水は、国民生活、特に極寒地の暖房のエネルギー源として貴重なライフラインである。人口が集中する首都ウランバートルの第4火力発電所は、同国最大の発電所。極めて重要な役割を担っている。しかし、ここに大きな問題が存在していた。旧ソ連製の老朽化した設備はスペアパーツの供給も止まり、維持も保守も困難な状態。このため故障や事故によるプラント停止が多発し、停電や温熱水の温度低下を引き起こしていた。さらに、燃焼制御も十分でなく煤煙による大気汚染が深刻化していた。プラント保守用のドキュメントも紛失が多々あり、ロシア語の図面が一部分残っているのみだった。

 このような状況を打破するためモンゴル政府は、日本政府の円借款により、2つのフェーズプランでプラント改修工事を決定。 1996年、8つのボイラのうち4ユニットについて第1期改修工事の国際入札を行なった。結果、日商岩井・横河電機が受注。計装制御全般を横河電機が担当することになった。

改修前の操作パネル
改修前の操作パネル

 横河電機がまず着手しなければならなかったのは、ボイラ燃焼方式の転換に対する制御装置の改修だった。既存の設備は、粉砕した石炭をいったんサイロに貯蔵し、必要な燃料をその都度ボイラーに注入する間接燃焼方式。機器トラブルや爆発の危険性が高く、燃焼効率も低かった。それを石炭を粉砕したあとすぐボイラに注入する直接方式に転換する。それにともないミル・バーナーの自動化方式も変えなければならない。既設の制御は給水系以外、ボイラ制御、ミル・バーナー制御は手動で行われていた。ボイラへの燃焼空気は全開で運転され、ボイラ燃焼効率も非常に低い状態であった。

 ボイラ、補機、周辺設備も含め全て自動化したい。旧ソ連製石炭ボイラを直接燃焼方式に転換し、制御の信頼性と拡張性を考えて、アナログからディジタルへ転換する。さらに、オペレータの現行スキルも考慮し、既存のボードオペレーション方式を継承しながら、最新のデジタル制御技術を採用、スキルアップと安全運転教育のための訓練用シミュレータも導入する。

 しかし、この顧客要求を実現するにあたり、決定的な問題が立ちはだかった。プラント建設時の資料がほとんどなかったのである。1980年代の建設・操業時の資料は、旧ソ連崩壊後の混乱で、ほとんど残っていなかった。唯一の図面は、ロシア語で手書きのプラント全体図のみ。ユニットごとの詳細な図面はない。課題は山積みだった。

 国家の威信をかけた大改修プロジェクト、顧客の要望は切迫していた。限られた予算のなかで、この課題克服に向けて横河電機に大きな期待がかかった。

第1期改修工事で横河は、計装・制御システムの設計、エンジニアリング、設置指導、プロジェクトマネジメント、コミッショニング、そしてオペレータトレーニングを担当した。

プラント図面作成の苦労
  煤煙が雪のように舞うボイラハウス
煤煙が雪のように舞うボイラハウス

 プラントの制御設計をするにも図面がない。どういう状況で動いているのか誰も把握できていなかった。  まず、横河電機が着手したのは、顧客とともに、現場の状況を反映した図面を作ること。壮絶な調査となった。煤煙が舞うなか、積もった埃をかき分けながら、顧客とプラントの隅から隅まで歩きまわった。頼りは手書きのロシア語の図面のみ。

 徹底して現場と照らし合わせながら地道に作り上げてていく作業が何日も続いた。飛び交う言葉は、ロシア語、英語、モンゴル語、そして日本語。言語の違いを、時に絵を書き、また身振りでお互いのランゲージバリアを乗り越えながら行った。

 顧客と一丸となってライフラインを守っていくという意思と執念が、見事にプラント図面を完成させ、自動化設計への足場を築いて行った。

図面

バーナー制御の自動化
 旧ソ連製石炭ボイラを直接燃焼方式に転換する要求に対しても、横河電機は地道な設計作業で、自動制御を実現。
 さらに既存設備では手動だったバーナー制御までも、効率運転を追及するあまり自動化を敢行してしまった。旧式のソ連製ボイラと新品のバーナーをマッチングさせ自動制御するという挑戦を、横河電機は良いものを創るというパイオニア魂をもってやり遂げていった。
ボードオペレーションとDCS
  改修後のオペレーションボードとDCS
改修後のオペレーションボードとDCS
 プラントオペレーションについては、顧客は馴染みのある既存のボードオペレーションを残したまま、最新のデジタル技術をミニマムコストで導入したいと考えていた。そこで横河電機は、制御装置としてシングルループコントローラとPLCの組み合わせを、監視用のユニットコンピュータとしてDCSを提案した。既存のLook & feelを継承しながら、機能だけは最新のデジタル制御技術で刷新することができる。また、CRT表示器を埋め込んであるため、その操作にも慣れてもらうことができる。現地のオペレータのスキルに応じた環境提案と将来へのCRTオペレーションへの移行も考慮してのシステムとなった。
ボードオペレーションと訓練用シミュレータ
  運転訓練用シミュレータ
運転訓練用シミュレータ
 しかし、このソリューションは新たな課題を生んだ。通常は大型のコンピュータで行う運転訓練用シミュレータを、小型のシングルループコントローラとPLCの組み合わせで実現しなければならない。横河電機のエンジニアは、ボイラのエキスパートと協同でモデル設計を開始、試行錯誤の末、シングルループコントローラとPLCの中にシミュレーション機能を入れ込むモデルを作りあげた。さらにこのシミュレーションには、運転訓練だけでなく、予測演算、マルファンクションの訓練シミュレーションさらにはパラメータチューニングもできる機能まで作りこんだ。これにより、スタートアップの前に各ボイラユニットの制御パラメータをシミュレーションで決定し、実機では最小限の微調整で済むまでにチューニングを追い込むことができる。ここまで作り上げた横河電機に対する顧客の評価は高かった。
  緊急事態の回数
緊急事態の回数
 改修を終えた各ボイラユニットは、 1998年末から順次運転を開始した。設備の信頼性、オペレーションの安全性は向上し、事故は年々減少。1999年から2000年にかけて、故障や点検で発電所全体を停止した日数はゼロとなった。停止期間中にロシアから購入していた電力輸入量は減少し、モンゴル政府の外貨建て支出の削減につながった。
  販売電力量
販売電力量(MWh)
 燃焼効率も大幅に上がり、省エネ効果と大気汚染ガスの削減を実現。電力・温熱水の供給量は上昇し、ウランバートル市内に、より安定したエネルギー供給ができるようになった。
 

 しかし全工程が完了して1年以上経った2001年10月、事故が発生した。改修した4ユニットの一つが、プラントトリップを起こしたのだ。横河電機は直ちにエンジニアを派遣、解決に尽力した。調査の結果、原因は横河電機の機器ではなく、既設の古い機器の故障によるトリップであることが判明した。それでも横河電機は、プラントを守るという観点から安全な運転ができるまで現場のサポートを続けた。

 発電所の所長は、この経験を振り返って次のように語っている。「百聞は一見にしかず。どんなにセールス文句を並べられても、私は自分の目で見ない限り信じない。プラントトリップの時、私は横河という会社の本質、その誠実さが分かった。」

 第4火力発電所は2003年から、残りの4ユニットを改修する第2期工事を開始している。顧客は再び横河電機をオートメーションのパートナーとして選び、モンゴルの産業発展と市民生活向上に貢献すべく、動き始めた。

Japan  
YOKOGAWA


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