横河電機株式会社
横河ソリューションサービス株式会社

新中期経営計画「Transformation 2017」を策定

2015年5月12日発表

 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市 代表取締役社長:西島 剛志)は、将来のさらなる成長に向けて、2015年度を開始年度とする新たな中期経営計画「Transformation(トランスフォーメーション) 2017(略称:TF2017)」を策定しましたのでお知らせします。

 当社は、2011年度に中期経営計画「Evolution(エボリューション) 2015」を策定し、制御事業グローバルNo.1カンパニーを中長期目標に掲げ、制御事業を中心とする成長戦略の推進による収益性の向上と財務体質の健全化に取り組んできました。これまでの取り組みにより、売上目標の前倒し達成と営業利益の過去最高益を更新するとともに、財務体質の健全化については一定の成果を上げることができましたが、収益性の向上については改善傾向にあるもののいまだ十分ではありません。

 また、情報技術革新によってグローバル市場で進む産業構造の変革の中で、事業環境の変化とそれに伴う新しい事業機会も見えてきました。

 こうした状況のもと、会社を取り巻く内外の変化を先取りするための成長投資と収益性向上のための事業構造の変革に早急に取り組むため、「Evolution 2015」の最終年度終了を待たずに2015年度から「TF2017」をスタートさせることを決定しました。「TF2017」では、「お客様フォーカス」、「新しい価値づくり」、「グローバル最適による徹底的な効率化」の3点に重点的に取り組み、事業構造の変革に注力していきます。

 同時に、現在から10年後の当社グループの「ありたい姿」に向けた考え方を長期経営構想として定め、2017年度までの3年間は、その実現に向けた「成長基盤の整備期間」と位置付けます。

 そして、将来のさらなる成長を実現していくため、収益性の向上に重点を置き、最終年度である2017年度には、株主資本利益率(ROE)11%以上、1株当たり当期純利益(EPS)100円以上の達成を目指します。

1.2017年度の連結経営目標

目標指標 目標値
売上高 4,400億円
営業利益 450億円
売上高営業利益率 10.2%
一株当たり当期純利益(EPS) 100円以上
自己資本利益率 11%以上
総資産利益率 6%以上

中期経営計画の前提となる為替レート 1USドル=110円

2.長期経営構想

 長期経営構想では、当社グループが目指す方向性を表現する「ビジョンステートメント」、その実現を支えるYOKOGAWAの強みを示す「コアコンピタンス」、そして「注力すべき事業領域」を定めています。

<ビジョンステートメント>
「YOKOGAWAは“Process Co-Innovation”(注)を通じて、
お客様と共に明日をひらく新しい価値を創造します。」

(注)Process Co-Innovation (プロセス コ・イノベーション) とは
YOKOGAWAがこれまで培ってきた計測・制御・情報の技術を結集したオートメーションの将来像です。これはプロセスの最適化を生産工程にとどめることなく、企業内のバリューチェーンや企業間のサプライチェーンなど、あらゆる情報やモノの流れへと拡大し、お客様とともに新しい価値を創造するYOKOGAWAのソリューション全般を表しています。

<コアコンピタンス>
 当社グループの強みとして、高い信頼性を作り込み現場に適応させていく能力などの「基礎となる3つの力」と、お客様と課題を発掘し価値を共創する力などの「強化すべき3つの力」を定義しました。

<注力すべき事業領域>
 現在、得意としており、今後さらに注力すべき「資源、エネルギー、マテリアル関連産業」と、今後、成長が期待でき、当社グループの強みも生かせる新領域「人々の健康や暮らしの豊かさを支える産業(ライフサイエンス、ヘルスケア、食料バリューチェーン関連産業など)」を注力事業領域としています。

3.中期経営計画「Transformation 2017」

 制御事業に引き続き注力していきます。今後の社会や市場の長期トレンドとして予想される

  • 資源エネルギー分野のさらなる成長
  • モノと情報の融合による産業構造の変革
  • 都市や社会のスマート化

を見据え、次の3つの重点項目に取り組むことで事業構造を変革し、収益性向上を目指します。

<お客様フォーカス>
 製品視点・製品中心としたビジネスに加え、お客様視点・お客様フォーカスのビジネスに事業を変革します。

<新しい価値づくり>
 当社グループの強みやICT(情報通信技術)の進展に伴うビジネスチャンスを生かし、現場情報の経営層での活用、企業・業種・業界を横断した効率化や最適化などの新しい価値をお客様とともに創造する事業構造へ変革します。

<グローバル最適による徹底的な効率化>
 すべての機能・業務でのグローバル全体最適により、コスト構造の変革を成し遂げ、収益性、効率性重視の経営へ変革します。

3.1 個別事業戦略

(1) 制御事業

<基本戦略>

  1. お客様基盤をベースとして、エネルギーサプライチェーン全体拡大
    石油・化学・電力などの業種における強いお客様基盤を軸にして、アップストリーム(上流)からダウンストリーム(下流)工程までのエネルギーサプライチェーン全体へビジネスを拡大します。
  2. 新業種への展開
    新業種への展開による新たなお客様基盤の構築や、新しい価値創造への取り組みにより、将来のビジネス拡大の基礎を築きます。

<注力業種>

  1. 石油・ガス業種は、中長期的には確実な市場の成長が見込め、強固なお客様基盤も持つことから、今後も事業拡大に注力します。ミッドストリーム市場においては、特にパイプラインや船(フローティングLNG・LNGタンカー)などのビジネスで営業活動を強化します。
  2. 電力業種は制御システムの市場規模が大きくかつ安定しており、今後もグローバルでのリソース活用やマーケティングを通じてビジネス拡大に注力します。
  3. 特に日本で高いシェアを獲得している化学業種では、蓄積したノウハウを、新興国市場を中心にグローバル展開することでビジネス拡大を図ります。

<ビジネス拡大施策>

  1. 注力業種(エネルギーサプライチェーン)でのビジネス拡大施策
    a.ライフサイクルサービスビジネスの拡大
    b.高度ソリューションビジネスの拡大
    c.プラットフォーム製品機能強化
    d.新ビジネスへの領域拡大
    • アップストリーム/ミッドストリーム
      当社グループの強みを生かし、Subsea(海洋・海底領域)を含む石油ガス上流市場へ
    • HSE(健康・安全・環境)+ メンテナンス
      プラントのあらゆる情報を活用し、最適な形で提供
    • Analytical(分析) × Solution(課題解決)
      物性リアルタイム監視と分析データの制御への活用
  2. 新業種への展開
    a.課題解決型コンサルティングビジネスによる新業種の開拓
    b.アジア地域への展開
    これらの取り組みにより、中長期的には制御事業グローバルNo.1を目指します。

(2) 計測事業

 測定器ビジネスでは電気エネルギー、光通信、制御事業とのシナジーが見込まれる分野に集中し、着実な成長と安定的利益確保により収益性向上を目指します。

 ライフサイエンスビジネスでは創薬支援市場での地位を確固たるものとし、共焦点顕微鏡では、新技術の開発に取り組み、事業の盤石化を図ります。

(3) 航機その他事業

 グローバルに成長が見込める民間航空機ビジネス、航海機器ビジネスおよび環境ビジネスの拡大に注力していきます。

3.2 投資・費用に対する考え方

(1) 研究開発

 制御分野とライフサイエンス分野に的を絞り、研究開発の付加価値向上と新規事業創出を促進し、投資効率を向上します。全社の研究開発投資総額については総額を維持するなかで、売上高研究開発費率6%台を目指します。

(2) 成長投資

 M&Aを中心に3年間で500億円程度の戦略投資枠を設け、注力業種における事業拡大を目指し、積極的な戦略投資を行います。定常設備投資は減価償却の範囲とします。

(3) 人財

 グループ全体で20,000人の規模を維持するなかで、海外人員の比率を増やしていきます。

 また「ソリューション型人財への変革」「グローバル人事制度構築とワークスタイルの変革」「ダイバーシティの推進」に取り組んでいきます。

(4) コスト構造最適化

 社長直轄の専任組織を設置し、グローバル横断プロジェクト体制のもとコスト構造の最適化を図り、200億円のコスト削減を目指します。

3.3 財務戦略・資本政策・株主還元

 利益成長を中心に、ROEの持続的な向上を目指す中で、本中期経営計画期間においては、ROAの最大化をドライバーに、ROE11%以上の達成を目指します。ROAの向上には、社内経営管理においてROICを事業ごとの重点管理指標として位置づけ、各組織・機能のKPI(重要業績評価指標)へと展開し、利益だけでなく、投資効率、資産効率、キャッシュ生成力の改善を図ります。

 また、2017年度までの3年間累計で営業キャッシュフロー1,000億円創出を目標とします。資金配分は株主価値の最大化のための戦略投資を含む900億円を成長投資に優先的に配分し、財務基盤を維持するなかで、株主還元を実施します。株主還元は利益成長を通じて、安定的・継続的増配を目指す考えのもと、連結配当性向30%を目標に配当水準の向上に努めます。

 最適資本構成の考え方は、成長投資のための余力を保持しながら追加資金調達余力も確保するものとし、日系格付機関による格付けAを確実に維持するものとします。

<参考>2017年度連結経営目標のセグメント別内訳(見込み)
  売上高 営業利益
制御事業 3,900億円 420億円
計測事業 260億円 20億円
航機その他事業 240億円 10億円
合計 4,400億円 450億円

以上

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