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YOKOGAWA

横河電機株式会社

2003年3月プレスリリース

2003年3月25日発表


光通信の全波長帯をカバーする高速光通信用受光素子の実用化に成功
「Full-WDM-フォトダイオード モジュール」サンプル供給を開始


 横河電機株式会社(本社:東京都武蔵野市中町2-9-32 社長:内田 勲 資本金:323億600万円)は、10Gbit/s以上のWDM(波長分割多重)光通信に用いられる波長帯:O・E・S・C・Lバンド(1260nm~1625nm)に加えて、Uバンド帯(1625nm~1675nm)※1をも1台でカバーできる超高速光通信用受光素子「Full-WDM-フォトダイオード」を世界に先駆けて実用化しました。
 実際にこの「Full-WDM-フォトダイオード」を組み込んだモジュールと住友電気工業株式会社製のファイバーラマン光増幅器を使用した実験で、Uバンドにおける43Gbit/sでのWDM伝送に必須の光増幅性能をも確認しています。
 この製品により、家庭への光ファイバの引き込み(FTTH)の急増でインフラの逼迫が予想される都市内(メトロ)ネットワークや都市間(バックボーン)ネットワークでの、トータルコストメリットの高い高速光通信システムの実用化に弾みがつくものと予想されます。

 当社では、「Full-WDM-フォトダイオード モジュール」のサンプル供給を3月23日から開始しました。
 今後シリーズ展開として、インジウム・リン化合物へテロ接合型バイポーラ・トランジスタ(InP HBT)を使用したアンプ内蔵モジュール、また更なる小型化を実現するセラミックパッケージタイプなど、ラインアップを拡充予定です。

 なお、当社はこの製品の詳細内容について、3月23日から28日まで米国ジョージア州アトランタで開催されている光通信の学会「OFC2003」で発表します。

※1:
U-バンド:国際電気通信連合(ITU-T)で定義されている光通信に使用される光の波長帯域、O-band(1260~1360nm)、E-band(1360~1460nm)、S-band(1460nm~1530nm)、C-band(1530nm~1565nm)、L-band(1565nm~1625nm)、U-band(1625nm~1675nm)等がある。(1nmは/百万分の1m)

製品の概要

 フォトダイオード(以下:PD)は光信号を電気信号に変換する受光素子で、光通信用伝送装置、通信用測定器だけでなく、バイオや石油化学等の産業分野でインライン分光・計測に使用されるキーデバイスです。
 従来、U-band帯での10Gbit/s以上の高速動作に対応するPDの実用化は困難で、各社ともS,C,Lバンド(波長1460nm~1625nm)を中心とした波長領域で変換効率等の仕様の向上を目指していました。
 今回製品化に成功した「Full-WDM-フォトダイオード」は、10Gbit/s以上のO~Uバンド帯全ての光通信アプリケーションに単一モジュールで対応可能です。
 
 PDの開発には素子構造の最適化、化合物半導体デバイス技術開発が重要です。
 当社では長年にわたり、バイオ・石油化学等の産業向けインライン分光・計測用に、高い信頼性をもつ高性能受光素子の開発を行ってきました。そして、高性能受光素子の開発に重要な「格子不整合系結晶成長技術」、「高精度pn接合形成技術」※2等の化合物半導体デバイス技術を確立し、実用化してきました。
これらの受光素子技術と「40G光通信用HBTモジュール」の超高速電子技術を融合し、今回「Full-WDM-フォトダイオード」を実用化しました。

 PDの構造はp-i-n InGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)で、InGaAs光吸収層の組成を制御してUバンド帯でも高い感度を実現し、偏波面依存性も低く抑えられています。周波数帯域は50GHz以上で、Bias回路を内蔵し、50Ω負荷で動作可能です。

※2:
格子不整合結晶等の技術のポイント
InGaAs光吸収層に格子不整合結晶成長技術(歪緩和バッファーの挿入と最適化歪格子設計)を用い、感度を長波長側に拡大しながらかつ低暗電流化を実現。さらに、浅いpn接合形成技術により窓層の薄層化を実現し、より短波長側の感度を向上しつつPD感度波長帯全域の感度向上を図りました。

開発の背景と意義

 FTTH、ADSLの急速な普及によりブロードバンドが身近なものとなるなか、光通信インフラではメトロ・アクセス網の整備が急ピッチに進んでいます。
 加入者数の急激な増加に伴う伝送量の増加により、基幹通信設備に対しても トータル運用コストの低い次世代大容量伝送が求められています。
 現状では未使用の領域であるUバンド帯も使用したWDM伝送は、既存のファイバーをさらに有効活用できることからトータルコストメリットが高いと考えられます。その実現にむけてのキーデバイスである受光素子(PD)と長距離伝送で必要となる光信号増幅器技術の実用化が望まれていました。
 当社は2001年9月、40G光通信用HBTモジュールとして「変調器用ドライバモジュール」や「ロジック回路用モジュール」を発売、次世代40Gbit/s光伝送システム分野に参入しました。通信バブル崩壊後も着実に開発を継続し、仕様・機能の向上に努め、製品を拡充してきました。
 今回、10Gbit/s以上のWDM光通信に用いられる波長帯全域を単一モジュールでカバーできるPDを世界に先駆けて開発したこと、さらにファイバーラマン 光増幅器を使用し、Uバンドにおける43Gbit/sでのWDM伝送に必須の光増幅性能をも確認できたことは大きなブレークスルーであり、トータルコストメリットの高いシステムの開発に拍車がかかると考えます。

製品の特長

1.波長領域:O・E・S・C・L・Uバンド帯(1260nm~1675nm)に対応
  10Gbit/s以上の高速光通信で、O・E・S・C・L・Uのすべての帯域に対応可能です。
   
2.周波数帯域:50GHz以上
  長距離伝送で要求される変調信号では基準周波数(43Gbit/sRZ変調信号では43GHz)を超える帯域とフラットな周波数特性が要求されます。  本PDは周波数帯域が50GHz以上ですので43Gbit/s以上の伝送レートでも充分な周波数特性を実現しています。
 
※周波数帯域について:
通常直流から測って出力振幅が-3dB減衰する周波数を周波数帯域とします。43GHzの信号を変換するには充分な周波数帯域が必要です。
   
3.偏光依存性損失(PDL):0.1dB以下
  光信号はファイバーの中を低損失で伝播し、PDで電気信号に変換されます。偏光依存性損失が低いと、偏光の影響をほとんど受けずにPDとファイバーを結合できるので、取り扱いが容易です。


【 主な市場 】
  光伝送システムメーカ、光伝送部品メーカ、通信用測定器メーカ
 
【 用 途 】
  43Gbit/sまでの光伝送装置や光伝送システム用測定器への搭載モジュール

以 上

製品に関するお問い合わせ・資料請求先:
 R&Dセンター フォトニクスデバイスPJTセンター
 TEL:0422‐52‐2102  FAX:0422‐52‐2125