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1997年10月29日
報道関係各位

金沢工業大学と共同で世界初の完全横形全頭構造でSQUIDセンサ最高208チャンネルを達成した「研究用脳磁計測システム」開発のお知らせ


 当社(横河電機株式会社 本社:東京都武蔵野市中町2-9-32 社長:美川 英二 資本金:323億600万円)は、金沢工業大学(所在地:石川県石川郡野々市町扇が丘7-1 理事長:泉屋 利郎 学長:石川 憲一)と共同で、脳から出る微弱な磁気信号を非接触、無侵襲で検出して脳内の活動を測定する装置として、脳障害解明や言語機能などの高次機能研究で威力を発揮する、世界初の、完全横形全頭構造、磁気センサ最高208チャンネルを達成した「研究用脳磁計測システム」を開発しましたので、お知らせいたします。

脳磁計とは

「脳磁計測システム」、いわゆる「脳磁計」は、脳活動に伴って脳から発生される極めて微弱な磁場(地磁気の十億分の一)を、脳外から非接触、無侵襲で検出し、脳内の活動部位や活動の程度を測定する装置です。具体的には、刺激に反応する脳神経の位置とそこに流れる電流の向きや強さを、脳の形態的情報を画像化するMRI(磁気共鳴画像装置)の画像と重ね合わせることで、刺激に反応した脳神経の位置がわかるようになっています。21世紀の脳研究分野における強力な手段として注目されており、本格的な実用化が待たれていました。

「脳磁計」に用いられるセンサは「超電導量子干渉素子」(SQUID:スクイッド)と呼ばれる超高感度の磁気センサです。この磁気センサは、生体から出るあらゆる磁気計測にその応用が求められており、脊椎、心臓、肝臓、胃腸、胎児の活動状態をみる研究が現在行われています。なかでも、脳から発生する微弱な磁気は、脳機能研究や脳活動計測の有効な手段として、生体に外部からなんらかの磁気、電波などを与ることなしに(無侵襲)、神経活動を直接計測できる唯一の手段として、多くの関係者の注目を集めています。

「研究用脳磁計測システム」開発の概要

横河電機と金沢工業大学が共同で開発した「研究用脳磁計」は、これまでの「脳磁計」と異なり、以下の特長を持っています。

  1. 磁気センサとして、グラディオメータ型スクイッドセンサと呼ばれる磁気センサを最大208チャンネルまで搭載できます(マグネトメータ型スクイッドセンサの場合は384チャンネルまで可能)。グラディオメータ型で150チャンネル以上の多チャンネル化を実現した大型の脳磁計は世界初です。
  2. 超電導磁気センサに使われる液体ヘリウムを収納する容器に、横型デュワーという斬新な構造を世界で初めて開発しました。従来の脳磁計では、被験者が座位の姿勢を要求され、大きな体力の負担を強いられていましたが、世界初の完全横形構造採用により、被験者が仰向けに寝た無理のない状態での測定が可能になりました。
    低温工学の分野で、このような低温容器を開発することはこれまで至難の技とされてきましたが、新たな低温工学技術により開発されました。また、磁気センサの装着は、BBST(Blind Bottle Ship Technology)を採用することにより、チャンネル数が多いにも関わらず液体ヘリウムの蒸発が少ない高性能の構造になっています。
  3. 地磁気や都市の磁気雑音から遮断するためにセンサ/デユワー部は磁気シールドルームに収納しますが、従来のものとの比較では、容積比で1/3〜1/4とコンパクト化を実現しました。磁気シールドルームはコンパクトにすると性能が向上するという性質を持っているため、システムのコスト低減と性能向上を同時に実現しました。なお、磁気シールドルームの小型化においても、世界最小サイズです。
今後の展開

このたび開発した「研究用脳磁計測システム」は、データを蓄積しながら、さらに様々な研究用途に応じたチェンネル数や、測定精度、測定対象、測定形態に合わせたバリエーションを考慮して、システムの完成度を向上を目指していきます。

横河電機のスクイッド技術と金沢工業大学の先端技術コラボレーション

横河電機は、スクイッド技術開発に20年前から着手し、高感度磁束計などの開発してまいりました。さらには1990年生体磁気計測システムの開発を目指して設立された国家プロジェクトの(株)超電導センサ研究所に参画し、脳磁計の技術を蓄積してまいりました。一方、金沢工業大学は、21世紀に向けた先端技術研究開発の産学共同活動に積極的に取り組んでおり、横河電機とともに今回の開発を行った同大の研究開発の活動もこの一環です。このたび発表の「研究用脳磁計測システム」の開発は、このような横河電機と金沢工業大学の密接なコラボレーションの結果として結実したものです。

なお、このたびの次世代型「脳磁計測システム」の構成要素の一つである磁気シールドルームの開発においては、日本鋼管グループNKKプラント建設株式会社(所在地:神奈川県横浜市鶴見区弁天町3 社長:勝 武男)の協力を得ました。

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