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YOKOGAWA

横河電機株式会社

プラントのライフサイクルを見据えた省エネルギー診断(タイ)

YOKOGAWAは、2009年度に経済産業省とグリーンIT推進協議会が実施した「ITによる省エネ診断事業」に参画し、タイの2つのお客様のプラントにおいて省エネルギー診断を行いました。

タイの2つの工場における省エネルギー診断

2009年10月から2010年1月にかけて、YOKOGAWAは当社の制御システムを使用しているタイの2つのお客様の工場において省エネルギー診断を実施しました。これは、経済産業省とグリーンIT推進協議会が実施した「ITによる省エネ診断事業」の一環として実施したものです。
診断には、当社の設備診断システム「InsightSuteAE」をツールとして使用し、プロセスデータ収集と解析、多変量解析技術による高精度な省エネルギー効果シミュレーションを実施しました。省エネルギーの効果が事前に予測でき、また、既存の設備を改造することなく省エネルギーを実現することができます。

Rayong Olefins Co.,Ltd様

Rayong Olefins Co., Ltd.(ROC社)は、タイのラヨーンで年間120万トンのオレフィン製品を生産している、タイ第2位の石油化学会社です。
今回の診断から、熱交換器(1台)、およびエチレン分解炉(13台)につき、1年あたり次の省エネルギーが実現可能であることが判明しました。


  • 電力量80.7 万kWh (450トン- CO2)
  • 水蒸気1,700トン (270トン- CO2)
  • 燃料300トン (800トン- CO2)

ROC社プラント

ROC社プラント

今回は、エネルギー消費の大きい設備の代表である、熱交換器とエチレン分解炉を対象に、省エネルギー診断を実施しました。

熱交換器では、運転の経過に伴いシェル(外殻)と内部のチューブ内の詰まり(付着堆積物)の増加により、熱伝達効率が低下してエネルギー消費量が増加する傾向があります。そのため、定期保全でシェルやチューブの内面をクリーニングする必要があります。ROC社では、数百台の熱交換器が稼動していますが、これらの熱性能を計測するツールが無いため、定期保全でのクリーニング対象は経験に基づいて抽出されています。診断においては「InsightSuiteAE」を設置し、現在に至る熱交換器の詰まり度を計測し、更にその将来の詰まり度を予測計算したことで、最適な保全時期をお客様に提案することができました。

また、エチレン分解炉では、内部に設置された複数のコイルチューブ内を、ナフサなどのエチレンの原料が通過する間に熱分解されますが、運転の経過に伴うコイルチューブ内面のコークス付着により熱伝達効率が低下し、燃料消費量が増加するため、定期的なコークスのデコーキング(燃焼除去)が必要となっています。現状では、コイルチューブ内部コークス付着度合いを計測する方法が無いため、付着度合いに関係なく全てのコイルチューブに同量の蒸気を供給し、デコーキングを行なっています。そのため、コークスの付着が少ないコイルチューブでは、必要以上に蒸気を使用し,付着の多いコイルチューブでは蒸気量の不足でコークスが残存していると推測されます。診断においては、「InsightSuiteAE」を設置し、220,000点の運転データによる多変量統計解析を実施、コイルチューブごとのコークスの付着度合いを計測し、付着の度合いに応じた最適蒸気供給が可能となりました。この蒸気供給制御には、当社の運転効率向上支援パッケージ「Exapilot」の蒸気供給最適化アルゴリズムの使用を提案しました。

診断作業の様子1

診断作業の様子2

診断作業の様子1

診断作業の様子2

Thai Acrylic Fibre Co., Ltd.様

Thai Acrylic Fibre Co., Ltd(TAF社)は、インドのアディティア・ビルラグループ(Aditya Birla Group)の1企業で、タイのサラブリのプラントにおいて世界でトップ3の品質のアクリルファイバーを年間100,000トン生産しています。今回の診断から、現在の稼動状況(2ライン)において、1年あたり次の省エネルギーが実現可能であることが判明しました。


  • 水蒸気3,100トン (490トン- CO2)
  • 電力量6,400 kWh (4トン- CO2) (制御弁が安定稼動することによる副次的な効果)

今回の診断は、プラント内で最も多くの蒸気を使用するドライヤーと、プラントの主要な制御弁を対象としました。「InsightSuiteAE」の制御ループ診断装置と制御弁診断装置を設置し、温度制御の状態を計測した結果、ドライヤーの温度制御が不安定で必要以上の蒸気を消費していること、また、制御弁が不安定で、必要以上の計装空気を消費していることが判明しました。

YOKOGAWAの取り組み

今回の取組みは、当社が2010年2月に発表した新しいソリューションサービス、「VisilantPlant Services™(ビジラントプラントサービス)」に基づいて実行したものです。VisilantPlant Services™では、お客様と一緒に課題を発見し、解決し、工場のライフサイクルに亘って効果を維持していきます。

今回は、当社の制御システムを使用しているタイのお客様に協力をいただきながら、「InsightSuiteAE」や「Exapilot」をアドオンする省エネルギー診断を実施し、大きな省エネルギー効果の可能性を発見できました。これらの知見を元に、今後は実際に省エネルギーを実現する制御性の改善施策などお客様と検討していきます。 また、プラントのライフサイクルに亘り、継続して省エネルギーを実現していくためには、ソリューションの提供に加えて現地のユーザーに対する教育支援や長期にわたるサポートが必要不可欠です。

YOKOGAWAは、世界中に制御システムを供給しているメーカーとしての責任を認識し、製品やソリューションの提供のみならず、長期的な視野でお客様の工場を支援し、世界の省エネルギー推進に貢献しています。